日本製鉄、2年連続の大リストラ発表 カギは「脱日本」

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江口英佑、真海喬生
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 「余剰能力を存在させてはいけない」。鉄鋼最大手、日本製鉄の橋本英二社長は3月5日、2025年度までの経営計画を発表するオンライン記者会見でこう述べた。

 経営計画では、東日本製鉄所鹿島地区(茨城県鹿嶋市)にある高炉1基の廃止に加え、全国10カ所以上の拠点で加工設備の生産を止めることを盛り込んだ。昨年2月には、広島県呉市の呉製鉄所(現瀬戸内製鉄所呉地区)の閉鎖や、和歌山市の製鉄所にある高炉1基の廃止などを発表。2年連続で大リストラを発表した。

 一連のリストラで、全国に14基あった高炉は10基に、鉄の国内生産量は20%減の4千万トンになる。会見で改革への葛藤を問われた橋本社長は「急がないと意味がない。後ろを振り返る余裕はない」と話した。

 日鉄はこれまで、少子高齢化などで国内需要が減る中、輸出比率を高めることで国内生産の規模を維持してきた。だが00年代から台頭した中国メーカーが大量に鉄をつくり、今や世界の生産量の半分以上を占める。鉄鉱石など原料の調達価格は高騰。これが国内メーカーが販売する鋼材の利幅を削り、業績を圧迫している。日鉄は19年度、4315億円と過去最大の赤字に。20年度も大幅な赤字に陥る見通しだ。日本経済が右肩上がりだった1960年代から70年代に建設された製鉄所も多く、老朽化した設備の更新費用も大きな負担だ。そうした状況で国内設備縮小の判断に至った。

 だが、設備を縮小しても中国勢との競争は続く。日鉄は、国内生産では販売価格が安い汎用(はんよう)品の比率を下げ、高価格品に注力する方針だ。大和証券の尾崎慎一郎氏はこの戦略について、「輸出は高付加価値品に絞っていくことになる。販売量は減るが、1トン当たりの利益を上げることで国内の利益額は維持、拡大していきたいということだ」と分析する。

 現時点では、高価格品の製造に必要な技術力は日鉄がリードする。ある日鉄幹部は「自動車向けの薄板などの高級鋼は、中国でも研究レベルならつくっている。しかし量産化はできていない。10年は差があるのではないか」と推測する。一方でトヨタ自動車電気自動車のモーターなどに使われる高級な鋼材「電磁鋼板」を中国メーカーから調達するなど、技術力の差は縮みつつある。

 日鉄の全世界での生産量は約…

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