コロナ禍のもとで、初の大学入学共通テストが行われた今年、首都圏の公立トップ校の合格実績が大きく伸びた。東京都立日比谷、神奈川県立横浜翠嵐、埼玉県立浦和の3高校の校長・前校長に、躍進の理由と指導法を聞いた。(川口敦子、宮坂麻子)
日比谷式「計画的自習のススメ」
「今年はいける」と思っていました。この学年から中高一貫校向けの模試を受け始めましたが、高2段階で私立トップ校に劣らぬ結果を残していたからです。
近年の東大合格者は、2018年度入試で48人、19年度は47人、20年度は東大は40人でしたが国公立の医学部医学科が倍増して43人に。そして今回は、東大63人(現役48人)で、ついに60人の壁を越えました。
公立生は、国語・数学・英語の成績は悪くないのですが、理科・社会が追いつかない。そこで、2、3年前から、高2の秋に「自学習の指針」を配り始めました。理社の各科目について「冬休みまでに、この教材の○ページ~○ページを、こういう狙いで取り組む」と細かく指定します。その通り完璧にやれば、塾に通わなくても十分成果が出せる。
英語は高1から発表、高2でディベートをし、4技能をバランスよく高める。英語で議論するので文法や語彙(ごい)も学ばざるを得ない。
模試の返却は学年集会で行い、課題を全員で共有し、「みんなで高める」。古文・漢文も含め、国数英は高2までに仕上げ、高3はウェートを増やす。コロナ下でも早期からオンライン授業を充実させ、特に高3生から「ありがたかった」と感謝されました。
「1日のうちにも文武両道を」とも伝えます。行事で忙しい日も「文」つまり勉強は必ずやる。両方できてこそ日比谷生です。3月で退任しましたが、大学がゴールじゃない。日本や世界の未来を委ねられるような人間になってください。
翠嵐式「基礎は高2までに」
今春の卒業生の東大合格者数(浪人含む)は、史上最多の50人でした。前年の26人のほぼ倍、現役は44人で前年の約3倍です。
理由は、いろいろ考えられま…

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