謎は解け、人生が残る 呉勝浩さん新境地のミステリー

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上原佳久
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 「うまくいかない人生を続ける意味はあるのか? 自分が書くからには、この問いに応えたい」。そう話す作家、呉(ご)勝浩(かつひろ)さん(39)が新作ミステリー『おれたちの歌をうたえ』(文芸春秋)を出した。自らの挫折の経験も踏まえ、人生をやり直そうとする元刑事の姿を描いた物語だ。

 還暦近いデリヘルの送迎運転手、河辺は突然の電話で、音信不通の幼なじみ佐登志(さとし)が死んだと知らされる。電話の主はチンピラ風の若い男、茂田。晩年の世話をしたという茂田は、佐登志からの「伝言」として暗号めいた詩を示す。詩には、ある詐欺事件に関わる金塊のありかが秘められているはずだと言うのだが……。

 やがて明らかになるのは、河辺や佐登志が高校生だった1976(昭和51)年、故郷の長野で巻き込まれたある悲劇。追われるように都会に出た彼らは互いに連絡を絶ち、河辺は刑事になるが組織からはじき出され、佐登志は後ろ暗い稼ぎに手を染める。

 お互い、どこで道を間違えたのか? その答えを求めるように、河辺は佐登志の残した暗号に導かれながら、かつての悲劇の真相に迫っていく。

 執筆のきっかけは編集者から…

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