今年の世界成長率は6% IMF予想、1月から上方修正

ワシントン=青山直篤
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 国際通貨基金(IMF)は6日発表した最新の世界経済見通しで、2021年の世界全体の成長率予想を前年比6・0%として、前回1月から0・5ポイント引き上げた。米中の回復に牽引(けんいん)され、前回予想より順調な回復を見込む。ただ、各国の国内や国家間での格差が広がり、「回復の見通しは危険なほど分岐している」(ゲオルギエバ専務理事)状況だ。空前の財政金融政策に頼った不均衡な回復は危うさをはらむ。

 IMFによると、世界経済は昨年、前年比3・3%減と戦後最悪の不況に陥った。今年は急回復に転じ、22年も4・4%の成長となる見通し。それでも、コロナ禍がなかったと仮定した場合に比べ、24年の世界の国内総生産(GDP)の合計は約3%も低い水準だ。

 上方修正の主因は、米国の財政出動だ。20年末にトランプ政権下で総額約9千億ドル(約100兆円)の追加経済対策を打ち出し、さらに先月、1・9兆ドルもの追加対策を決めた。今年の米国の成長率は従来予想より1・3ポイント高い6・4%、22年も3・5%の力強い改善が続くと予想。米国のGDPは、今年前半にコロナ危機前の19年末の水準まで回復する見込みだ。

 中国は強力な封じ込めと公共投資で、昨年すでに危機前のGDPの水準に回復した。主要国が軒並みマイナス成長に沈んだ20年は2・3%、21年も8・4%、22年も5・6%と、順調な回復で世界一の経済大国、米国を追い上げる。日本は昨年末の経済対策を反映して21年の成長率を0・2ポイント上方修正し、3・3%を見込む。日本はGDPが今年後半に危機前の水準に戻る見通しだが、欧州の回復の勢いは弱く、危機前に戻るのは来年以降になりそうだ。

 コロナ危機は、先進国中心の不況だった2008年のリーマン・ショックに比べ、発展途上国の打撃が特に大きい。米国の力強い回復は米長期金利の上昇圧力を招き、投資資金を米国へ引き揚げる動きにつながる。米金利上昇を通じて新興国の経済がさらに苦境に陥れば、それが米国など世界の金融市場を揺さぶるリスクも高まる。(ワシントン=青山直篤)