スエズ座礁、どうなる巨額賠償 損害は「1100億円」

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森田岳穂
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 エジプト東部のスエズ運河で大型コンテナ船が座礁した事故で、船を所有する正栄汽船(愛媛県今治市)が巨額の賠償金を請求される懸念が高まっている。リスクがつきものの海の世界では古くから補償制度が発達し、今回も保険でカバーできるとの見方が多い。それでも、過去に例のない事故だけに注目を集めている。

 「損害額は推計で10億ドル(約1100億円)に達する。エジプトには当然、賠償を求める権利がある」

 スエズ運河庁のラビア長官が3月31日に地元テレビでそう述べると、海運業界に衝撃が走った。ラビア氏は以前、事故による損失は1日あたり推計1200万~1500万ドル(約13億2千万~16億5千万円)と説明したことがあり、座礁から1週間で運河が再開した割には過大にみえるからだ。

 「金額を聞いて驚いた。機会損失の費用なども含めているのではないか」。大手海運会社の関係者はそう話す。

 同庁は詳細を明らかにしていないが、今回の事故で発生した損害は多岐にわたる。タグボートやショベルカーを使った離礁作業や、運河の修繕にかかる費用のほか、運河が使えなかった期間に本来は見込めた通航料などだ。

 これらの損害の責任は、船を所有する「船主」が負う契約になっていることが多い。今回の船主が正栄汽船で、台湾の海運大手「長栄海運」に船を貸し出していた。船に乗っていたのは、正栄汽船が手配した船舶管理会社に所属する船員だ。こうした契約は「用船契約」と呼ばれ、海運の世界では標準となっている。

 では、社員数29人の正栄汽船が、巨額の負担に耐えられるのか。同社幹部は「運河庁から請求を受けていないので正確なことは言えないが、一般的には加入している保険でカバーできる」と話す。

 ひとたび事故が起きれば多く…

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