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 ペット対応や宿泊割、花火大会……。コロナ禍で苦境が続く山梨県笛吹市の石和温泉で、今月から集客に向けたさまざまな取り組みが始まった。関係者からは、「浮上」に期待する声があがる。

 石和温泉の宿泊業は、新型コロナウイルスの感染拡大により昨年から集客減少に苦しんできた。

 市観光商工課によると、2度目の緊急事態宣言の期間中の今年2月、ホテル・旅館約40軒を調べた結果、平日も含めて通常営業していたのは約3割だけ。経営者からは「宣言解除になっても、客足は大きく戻っていない」との声があがる。

 今月3日、同市石和町窪中島に「イシハラドッグサロン リアン」が開業した。温度管理を徹底し、排水溝を備えた部屋など27室を設けたペットホテルだ。

 ターゲットは温泉の利用客。「ワンちゃんと一緒に旅行に行きたいというペットツーリズムの需要に応えたい」。石原弘基社長(38)は語る。

 石和温泉にはこれまで、ペット同伴で利用できる宿がほとんどなかった。対応するには新たな投資が必要だ。ペットホテルはその代わりになる。今後は、宿泊施設側との連携を進め、「セットプラン」を販売する予定だ。

 地域の活性化につながるとして、市と国から補助金を受けた。開業式に出席した山下政樹市長は、「コロナ禍の今は我慢のしどころだが、今後の集客の新しい要素になる」と期待を寄せた。

 市では5日から、独自の宿泊割引制度のサイトを開設した。国が進めていた「Go Toトラベル」が中断、県の独自の宿泊割も3月末で終了したため、「支援の継続が必要」と判断した。

 割引額は、最大で1人1泊1万円。2万円以上の宿泊で1万円、1万円以上の利用で5千円、5千円以上の利用なら2500円をそれぞれ割引する仕組みで、旅館ごとに「予算枠」があるという。

 大型連休をにらみ、10日から来月31日までの宿泊で利用できるようにした。市の担当者は「感染拡大が心配ですが、なんとか、ゴールデンウィークの集客につなげたい」と意気込む。

 3日夜、市庁舎前の笛吹川河川敷で、太鼓の演奏とともに、数千発の花火が夜空を彩った。石和温泉観光協会の「武田二十四将の宿実行委員会」の主催。午後6時と8時、プログラムは2部構成にした。温泉客が夕食の前後に観賞できるようにという配慮だ。

 観客を入れた久しぶりの花火大会。「桃花と花火と太鼓の競艶(えん) 安心安全の石和温泉 出発(たびだち)の舞」と名付けた。「安心して泊まれる温泉をアピールしたかった」と話す山下安広会長。「この1年の低迷を、ここから脱したい」(永沼仁)

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