九州より広い「所有者不明土地」 解消の課題は「相続」

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伊藤和也
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 誰のものかわからない土地が、九州の面積より広く存在するとされている。こうした「所有者不明土地」をこれ以上増やさないためにはどうすればいいのか。主な課題となっているのが、所有者が亡くなったときの相続のあり方だ。

 国内の土地は、一筆ごとに所在や面積のほか、誰が所有しているのかが登記簿に記録されている。ただ、登記簿上の所有者がすでに亡くなっていたり、すぐに連絡がとれなかったりするケースが数多くあり、公共事業や都市開発の妨げになっている。有識者でつくる研究会の推計では、こうした土地の総面積は2016年時点で九州本島を上回る410万ヘクタールに上り、40年には北海道本島に迫る720万ヘクタールに達する可能性があるという。

 法務省によると、登記簿で所有者が判明しないケースの約34%は転居先などの住所変更が届けられていないことが原因だった。残りの約66%は、すでに亡くなった人の名義になっており、相続が発生したときに名義変更が行われていなかったという。

 そんな問題を解消するため、住所変更時や相続時の登記を義務化する不動産登記法の改正案が今国会で審議されている。住所を変更した場合は2年以内、相続した場合は相続を知った日から3年以内に登記を申請することを義務付け、違反した場合はそれぞれ5万円以下と10万円以下の過料を科すとの内容だ。

 ただ、相続には複雑な事情が絡むため、権利関係の整理に大きな負担がかかる。土地の相続を登記する場合、法定相続人の間で分け方を決めて遺産分割協議書を作成し、全員が署名、実印を押したうえで、土地を管轄する法務局に提出する必要がある。全員分の印鑑証明書や住民票、亡くなった元の所有者の戸籍謄本などの書類もそろえなければならず、手間だけではなく費用もかかる面倒な作業だ。

 相続専門会社「夢相続」代表の曽根恵子さんは「ちゃんと登記するにはまずはちゃんと相続すること。そのためには事前の準備が大事です」と話す。

 相続でトラブルになる相手は兄弟姉妹が突出して多く、中には親の死後で収拾がつかなくなっているケースもあるという。曽根さんは「財産をすべてオープンにし、どう分割するか親が自分の考えを伝えるのがいい。子どもの意見も聞くのがベターだが、まとまらないことも多い」。そのうえで、結果を遺言として残すよう勧める。

作成するのは70代の頃が多い

 遺言には大きく分けて2種類ある。

 その一つは「公正証書遺言」…

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