政活費不正、有罪判決の2人が立候補へ 強気と弱気と

竹田和博、野田佑介
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 2016年に政務活動費の不正受給が発覚した富山市議会で、有罪判決を受けた2人が11日告示の市議選に立候補する。控訴中の現職は「自分がいてこそ」と強気で、有罪が確定した元職は「不安はある」と弱気も漏らす。問題発覚から5年弱。有権者の審判は。

村上和久市議「自分いてこそ」

 「無罪判決が出るまで1回休んだらどうかとの声もあるが、村上がいてこそ富山市議会は復活できる」

 現職の村上和久市議(59)は2日、富山市富山県弁護士会館で記者会見し、市議選(定数38)への立候補の意向を示した。

 村上市議は19年1月に書類送検された際、議長だった。一連の不正で唯一、現職市議として詐欺罪で在宅起訴され、今年3月に富山地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 判決によると、当時の印刷会社社長から白紙の領収書を受け取り、広報誌の印刷名目で妻らに虚偽の領収書3通を作らせて、12年4月と14年4月ごろ、政活費(旧・政務調査費)計約72万円をだまし取った。

 村上市議は「私の人生、命がかかっている。判決は決して承服できない」として名古屋高裁金沢支部に控訴した。前回の市議選までは自民公認だったが、今回は公認申請を取り下げ、完全無所属で5選を目指す。

 今回の立候補について「批判も当然あろうかと思う」と語る。一方で、書類送検される前の17年、「政務活動費のあり方検討会」で座長を務め、支出のルールを設定し、市議会改革を推し進めたという自負もあるという。「支持してくれる方々がいる限り責任を果たす」

谷口寿一・元市議「不安大きく」

 村上市議と同じ詐欺罪に問われ、懲役1年6カ月執行猶予4年の有罪判決が確定した谷口寿一・元市議(57)も、再び選挙の舞台に立つ。

 富山地裁判決によると、谷口元市議は12年4月~16年4月、政活費計約469万円をだまし取った。発覚後の16年9月、2期目途中に議員辞職し、在籍していた自民党を離脱した。

 立候補を前にした朝日新聞の取材に、「在職中は政活費が税金だという意識が薄く、何の違和感もなくやっていた。取り返しのつかないことをしたと思っている」と改めて語った。辞職後はアルバイトを経て、介護施設で4年余り生活相談員として働いてきた。

 再び政治を目指すのは、地元選出の議員を求める町内会幹部らから推されたためだという。当初は断ったが何度も立候補を請われ、決断した。反対する妻を説得し、今年2月に解散した後援会を再び立ち上げた。

 選挙期間中は、悪印象になるので政活費の話題は控えようと考えているという。「(厳しい声があるのは)分かっていても、自分が(有権者から)どう見られるか、告示が近づくにつれて不安が大きくなる」。介護施設で働いた経験を生かし、福祉問題などを訴えるという。

立候補できないのは禁錮以上が確定した時だけ

 詐欺罪など一般の刑法犯で公民権が停止され、選挙に立候補できなくなるのは、禁錮以上の実刑判決が確定した場合だけだ。

 17年4月の前回の富山市議選では、問題発覚後に辞職しないまま立候補した8人のうち、自民の2人が落選。辞職した上で立候補した無所属の1人も落選した。

 今回の市議選の投票は18日。即日開票される。(竹田和博、野田佑介)

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 富山市議会の政務活動費不正受給 2016年8月、地元テレビ局の報道をきっかけに、市議たちが架空の市政報告会の経費を申請したり、白紙の領収書を発行させたりして政活費を不正受給していたことが発覚。7カ月間で自民党会派12人、民進党系会派2人が辞任した。書類送検された際に議長だった村上和久市議や谷口寿一・元市議ら4人が詐欺罪で在宅起訴され、村上市議を除く3人の有罪判決が確定した。地元局「チューリップテレビ」の報道や不正の経緯はドキュメンタリー映画「はりぼて」になった。