日本から多くを学んだ 半導体生産で世界席巻の創業者
日本のスーパーコンピューター富岳、米アップルのiPhone、自動運転車……。これらが搭載する高性能半導体の生産を多く引き受けるのが、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)だ。世界中の500社のため黒衣に徹するハイテク企業の創業者、張忠謀(モリス・チャン)さんにビジネス成功の秘訣(ひけつ)を聞いた。
1931年生まれ。米国で企業経営の後、87年にTSMCを設立。2018年に引退後も同社に強い影響力を持ち、蔡英文(ツァイ・イン・ウェン)総統からの信頼も厚い。
――台湾はいまや、世界の半導体生産の一大拠点です。あなたにとって「半導体」とは何ですか?
「運命の同伴者ですね。もともと半導体の道に進むつもりはありませんでした。社会人になる時、四つの選択肢のオファーをもらったのですが、その中の一つに当時、新分野だった半導体がありました。運命が私を半導体と結びつけたのです」
――TSMCは高性能半導体の生産を請け負う受託生産会社(ファウンドリー)では世界最大手。日本メーカーで定着しなかった受託生産で、TSMCが成功した理由はどこにあるのでしょう。
「製造だけに特化し、注文を…
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