実は日本人の研究も貢献 新型コロナのmRNAワクチン

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瀬川茂子
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 新型コロナウイルスの感染拡大を抑える切り札と期待される新型ワクチンに欠かせない「ある発見」は、実は日本人の功績だった。国内でも12日から一部市町村で高齢者への接種が始まる米製薬大手ファイザー社の新型コロナワクチンは、「mRNAワクチン」と呼ばれるまったく新しいタイプのワクチンだ。このワクチンにつながった発見とは、どんなものだったのか。

 「この構造がないと、mRNAワクチンはできないです。それを発見できたことに、幸福を感じています」

 こう話すのは、新潟薬科大学の古市泰宏客員教授(80)だ。

 mRNAワクチンは、細胞の中で、たんぱく質を作るための情報を伝える「メッセンジャーRNA(mRNA)」を脂質の膜で包んだものだ。

 ワクチンが体内に入ると、細胞の中で新型コロナウイルスのたんぱく質が作られ、免疫反応が起きて記憶される。本物の新型コロナウイルスが体内に侵入した際、免疫がすばやく働き発病を防ぐ。ファイザーと、米バイオ企業モデルナの臨床試験では、90%以上という高い有効性を示した。

 このワクチンに、どう日本人の研究がかかわったのか。

 古市さんは東京大学で博士号を取得し、1969年から国立遺伝学研究所の三浦謹一郎教授の下で研究していた。当時は、遺伝情報をおさめたDNAから、mRNAに情報が伝わり、たんぱく質ができるまでの詳細なメカニズムについての謎に、世界中の研究者が取り組んでいた。

 研究材料としては、細胞に感染するウイルスがしばしば使われていた。三浦研究室では、カイコに感染するウイルスを使っていた。そこで、古市さんらは、mRNAの端に特殊な構造があることを見つけた。重要な働きをしているに違いないと考え、英科学誌ネイチャーに論文を送ったが、編集者からは、もっと詳しく解明するよう、論文の改訂を求められた。

 だが、ネイチャー編集者からの求めに応じるための実験材料の値段は数十万円かかり、当時、古市さんが得ていた科学研究費の年間予算50万円でまかなうには高価すぎた。

 ただ、ちょうどその頃、古市…

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