甲子園だけじゃない 女子野球のセンバツ決勝も劇的勝利

山口裕起
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 もうひとつの選抜大会も熱かった。

 東海大相模(神奈川)が明豊(大分)にサヨナラ勝ちし、10年ぶり3度目の優勝を飾って幕を閉じた第93回選抜高校野球大会。熱気が冷めやらぬ決勝の翌日、甲子園球場から約500キロ離れた地でも、全国の頂点をかけた高校野球の熱戦が繰り広げられていた。

 埼玉県加須市で開かれた第22回全国高校女子硬式野球選抜大会は2日、開志学園(新潟)と履正社(大阪)の決勝が行われた。

 開志学園は3点を追う七回、それまで1安打に抑えられていた打線が奮起する。7番大友渚月、8番関口心愛の連続適時打など、この回4長短打を集めて5点を奪い、逆転に成功した。5―3。創部9年目で初優勝し、関口は「打った瞬間は頭が真っ白。みんなの笑顔を見てうれしさがこみ上げてきた」と涙。4年ぶりの選抜優勝を逃した履正社の選手たちは悔し涙を流した。

 今大会は全国から33チームが集まった。7イニング制で、球の速い投手は120キロ台の直球を投げ、力自慢の打者は重さ900グラムのバットを使いこなす。ヒットエンドランやスクイズを駆使した攻撃はスピード感もあり、迫力があった。

 開志学園は、28人の部員のうち、26人が寮生活を送る。関東を中心に、新潟県外から「全国制覇」をめざして進学してきた生徒も少なくない。2017年から指導する漆原大夢監督は、新潟明訓の一塁手として2010年夏の甲子園で8強入り。「打ち勝つ野球」を掲げる。

 平日の練習は2、3時間ほどだが、練習以外でも絆を深めてきた。選手は野球ノートに自身の課題や目標を書き込み、週に1回、監督に提出する。監督は一人ひとりにメッセージを書き込む。交換日記のように繰り返してきた。

 「直接言いづらいことでも、ノートなら自由に書けちゃう」と選手たち。昨春、コロナ禍で休校となって選手が帰省した際も、「LINE」を通してやり取りを続けた。

 全体練習が再開されても、活動は制限された。冬場は大雪の影響でグラウンドが使えなくなり、二つあるビニールハウスの中で打撃練習をしていたという。優勝メダルを首にかけ、主将の三浦帆菜は言った。「つらい1年だったけれど、みんなで笑顔を忘れずに野球をしようと言ってきた。最後に練習の成果を出せて、最高に幸せです」。一投一打へかける思いも、熱かった。(山口裕起)