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 ビジネスにはテレワークで補えないものがある。顔と顔を合わせて信頼を築くパーティーもその一つだろう。長期化するコロナ禍で、企業や団体のそんな悩みに応えるパーティーを岡山市のホテルが考案したと聞き、取材に向かった。

 ホテルグランヴィア岡山が始めたのは「ニューノーマルスタイルパーティー」。立食する1テーブルは従来の半分ほどの4人に制限し、アクリルボードでスペースを仕切った。料理はセルフビュッフェでなく、小皿に分けたものをスタッフが個別に配る。政府が推奨する「新しい生活様式」に準じた内容だ。

 県内企業の役員ら約200人を招いた3月半ばの内覧会では、最大650人収容の宴会場に約40人ずつが5回に分けて参加。乾杯の音頭は見送り、テーブルごとに無言で杯を交わした。大阪府が提唱する「マスク会食」と同様、参加者はホテルが用意した手持ち型マスクで口を覆い会話を楽しんだ。

 お決まりのお酌は禁止。接触感染リスクなどをふまえ個々に缶ビールで飲んだ。誤って他人の缶に口をつけるのを防ぐため、缶には名刺を輪ゴムではさむ。ホテル側は配膳とは別に「エチケットリーダー」と呼ばれるスタッフを複数配置。マスク着用を促すボードを持ち、会場内を巡回した。

 ホテルが内覧会参加者に取ったアンケートでは、約95%が「情報交換のための宴会は必要」と答えた一方、「宴会を自粛している」は97・2%。企業側のジレンマが浮かんだ。

 岡山商工会議所(会員6532社)の高橋邦彰専務理事(66)は内覧会で「やや厳重に過ぎる感が……。円滑な会話には、もうひと工夫必要ではないか」。同会議所は例年2カ月に一度のペースで立食パーティーを開いてきたが、この1年は全くできていないという。会員同士のコミュニケーションが減っているとし「経済にもよくない。新スタイルに慣れつつ、利用していきたい」と話した。

 ホテルも新パーティーにかけている。宴会は「宿泊」「レストラン」と並ぶ売り上げ3本柱。2020年度(2月末時点)の宴会売り上げはコロナ禍前の18年度比で8割減った。同ホテルの奈倉宏治社長は「安全、安心に楽しめる選択肢として活用していただきたい」。新年度が始まり、予約は増え始めているという。(中村建太)