五輪ボイコット論に政府困惑 中国、東京不参加匂わせも

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ワシントン=園田耕司、ニューヨーク=中井大助 北京=冨名腰隆 永田大、加藤秀彬 ロンドン=遠田寛生、ニューヨーク=藤原学思
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 米中の対立が激しくなるなか、米国で北京冬季五輪のボイコット論がくすぶっている。6日には国務省報道官が可能性に言及。中国は反発し、日本でも今夏に東京五輪の開催を控え、関係者から困惑の声が出ている。

 国務省のプライス報道官が6日、五輪の共同ボイコットの可能性に言及した背景には、米国内で強まる中国国内の人権問題への懸念と対中感情の悪化がある。新疆ウイグル自治区ウイグル族の迫害をめぐっては、バイデン政権は「ジェノサイド(集団殺害)」と認定。民族や宗教に基づく集団を破壊する意図で行われる行為を指す「ジェノサイド」が行われている中国での五輪に参加することについて、米議会などから異論の声が出ていた。ニッキー・ヘイリー元国連大使は2月、ウイグル族への「ジェノサイド」を理由に「我々は北京五輪をボイコットしなければいけない」と主張。ジョン・カトコ共和党下院議員はバイデン氏に書簡を送り、北京冬季五輪への参加は「ジェノサイドを公に行っている国の五輪に参加することになる」と非難した。リベラル志向の強い民主党内でもボイコットの可能性は語られている。

 また、米調査機関ピュー・リサーチ・センターの3月4日発表の世論調査によると、「中国との経済関係が傷ついても、米国は中国国内の人権の向上に努めるべきだ」と答えた米国人は、7割に上っている。

 一方で、五輪に政治を過度に持ち込むべきではないとして慎重な意見もある。

 特に、ソ連(当時)のアフガン侵攻に抗議して、カーター大統領(同)が1980年のモスクワ夏季五輪のボイコットを決めたことには、「選手に負担をかけ、効果は少なかった」と批判が根強い。

 2002年のソルトレークシティー冬季五輪の組織委員会会長を務めたロムニー上院議員(共和党)は3月、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、中国を批判しつつ、「選手が中国で競争することを禁じることは、安易ながらも間違った回答だ」と指摘した。「数百人の若い米国の選手に、我々の批判の負担を背負わせるのは不公平だ」とも主張し、モスクワ五輪のボイコットがソ連の行動を改善しなかったとして「効果もあまり期待できない」とした。

 ロムニー氏はその上で、「経済的、外交的なボイコットをすべきだ」と提案した。選手の家族を除いて米国から北京へは応援に行かず、米政府も外交団ではなく、中国政府に批判的な活動家や人種的なマイノリティーを送るべきだとしている。

 また、選手ではなく、スポンサー企業が行動すべきだという声もある。

 ワシントン・ポストは4月1日付の社説で「権威主義的な国家の礼賛に協力し、豊かになることを企業は拒否すべきだ」と主張した。コカ・コーラなど主要スポンサーこそが中国にメッセージを送ることができるとして、「なぜ、ジェノサイドを行っている国家で、五輪のスポンサーをしているのかと問いかけるべきだ」と訴えている。(ワシントン=園田耕司、ニューヨーク=中井大助

「北京を否定するなら」 クギを刺す中国

 五輪ボイコットの動きに中国は強く反発している。

 中国外務省の趙立堅副報道局長は、7日の定例会見で米国の「ジェノサイド」認定について、「米国がうそに基づき中国に泥を塗っても必ず失敗する」と強調。さらに「スポーツを政治化することは五輪憲章に反するものであり、各国の選手や五輪大会を傷つけるものだ。米国の五輪委員会を含む国際社会が受け入れないだろう」と批判した。

 共産党指導部は、北京冬季五…

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