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 空間やモノなどを共有する「シェアビジネス」。意外な場所に、意外なサービス提供者が登場し、さらなる広がりを見せている。この春、東京・多摩地域の繁華街でもこんなところに――。(井上恵一朗)

自宅と丸井がつながる

 吉祥寺駅近くにある丸井吉祥寺店(東京都武蔵野市)の南側に、シェアハウス「マルイ トクラス吉祥寺」が開業した。

 吉祥寺店の事務所などに使う後方施設を改装。モノトーン基調のデザインで2~4階に43室が並び、トイレやシャワー、キッチンラウンジが共用だ。家賃は共益費込みで月7万5千~9万円。店舗とつながる入居者用通路もあり、丸井で食べ物を買ったその足で直接帰宅したりもできる。マルイホームサービスでシェアハウス事業を担当する村松渚(なぎさ)さん(25)は「コンセプトは『丸井と暮らす』です」。

 なぜ丸井グループがシェアハウスなのか。従来の小売りとカード事業に加え、近年は、持続可能な事業創出企業への投資など、将来を担う世代との関係づくりに力を入れてきた。シェアビジネスの新規事業開発もその一環だ。

 主な利用者には、若い世代の中でも「Z世代」と呼ばれる20歳前後を想定する。SNSやスマホとともに育ち、他人との共有への意識や、人とのゆるやかなつながりへの関心が高いとされる。人気エリアで駅至近のシェアハウスは、家計負担を減らす意味でもニーズは高いと進めてきたが、コロナ禍になって不安も生じたという。だがその世代への聞き取りをしたところ、つながる機会が減った中で、「むしろ求める声が多いことを実感した」と村松さんは言う。

 再生可能エネルギーでの電力供給、洗剤不要の最新ランドリーなども、環境負荷への意識が高い世代に響く施設と考えている。

 3月半ばの入居開始から住む大学1年生の佐藤響さん(18)は「入居者とコミュニケーションできるのが魅力」。丸井グループはここでノウハウを得て、今後のシェアハウス展開を検討していくという。

駅から徒歩0分、なんとホーム上にシェアオフィス

 日本初となるホーム上のシェアオフィスが登場したのは、JR三鷹駅と西国分寺駅。コロナ禍で広がる新しい働き方に対応し、JR東日本が設置した。発車ぎりぎりまで使える「徒歩0分」の仕事場だ。

 西国分寺駅では中央線下りホーム、三鷹駅では同上下線に、2~3月にオープンした。箱形の外観の内部に、個室が5~3席。スマホで予約でき、15分あたり税込み275円。三鷹駅で利用した男性(54)はオンラインの役員会議に参加。会社は新宿にあるが近くで打ち合わせを控え、移動時間を省くためという。「ここなら静かにできる」

 多様な働き方の広がりを受け、JR東は2019年から移動ロスの少ない駅施設でのシェアオフィス展開を始めた。3月末現在で首都圏に71カ所、東北信越などに29カ所あり、23年度に1千カ所をめざすという。