福島で被災の雑種が災害救助犬に 挑戦11回、葛藤の末

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上田学
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 福島第一原発事故で全村避難した福島県飯舘村の住民から引き取られ、災害救助犬になった雑種犬がいる。認定試験に何度落ちても挑戦し、11回目でようやく合格した。頑張るその姿は、小学校の道徳の教科書に採用された。救助犬としての期間は残りわずかだが、いつでも出動できるように訓練を重ねる。

 「さがせ!」

 訓練士の上村智恵子さん(48)が指示すると、雑種犬「じゃがいも」は鋭い目つきで模擬の災害現場を駆ける。人の気配を間近に感じると、「ワン、ワン」とほえて知らせた。

 じゃがいもは2011年6月、飯舘村で生まれた。飼い主は避難で子犬を手放さざるをえず、被災地に支援に入ったNPO法人「日本動物介護センター」(岐阜市)の理事長の山口常夫さん(69)に新しい飼い主探しを頼んだ。一緒に預けた子犬4匹はすぐに引き取り手が見つかったが、最後まで残ったのがじゃがいもだった。

 山口さんはじゃがいもの運動神経の良さに気づき、「被災者の励みにしたい」と、災害現場で行方不明者を捜す「災害救助犬」にすることを思いついた。ただ、当初は警戒心が強く、小さな物音にも驚いていた。「成長につれ、人見知りが激しくなり、試験どころでなかった」と山口さんは振り返る。

 認定試験は各地で原則年2回あり、合格率は3割程度の狭き門だ。まして雑種を救助犬に育てたこともなかった。翌12年秋から10回続けて不合格に。市街地で散歩し、人混みに慣れる訓練を重ねた。やがて物おじする性格も落ち着き、隠れた人を捜索する技術も上達して、17年6月に合格を果たした。

 この間、じゃがいもの奮闘に…

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