姓と名の順自由、夫婦別姓OK でも家父長制的な国とは

会員記事

シンガポール=西村宏治
[PR]

 「さすがシンガポール外務省、Kono Taroと表記してくれてる。ありがとう。」

 昨年12月27日のこと。シンガポールを訪れた河野太郎行革相が、ツイッターでこうつぶやいた。

 それを思い出したのは、4月を前に労働ビザの更新手続きをしていた時だった。ふだん気にしていなかったが、私の登録名も「Nishimura Koji」だったのだ。

 なんでだっけ?と同僚に聞いたら「自分がその順番で申請したのでは?」。え、それだけ? 確かに政治家の名前を見てもリー・シェンロン首相は姓→名、デズモンド・リー国家開発相は名→姓だけど……。

 多文化多民族国家シンガポール、はたして名前の決まりはどうなっているのだろう。

姓→名? それとも名→姓?

 日本で姓→名と表記するのだから、ローマ字でもそう表記すべきだ――。河野氏は、そう訴えてきた政治家だ。外相だった2019年には、彼らの後押しもあって国の文書も姓→名が原則になった。

 ただ、日本が名→姓のローマ字表記を長く使ってきたこともあり、英語のニュースなどを見ているとまだまだ「Taro Kono」表記は多い。ところが昨年12月の河野氏のシンガポール訪問では、現地政府の発表はすべて「Kono Taro」になっていた。報道は、主要紙ストレーツ・タイムズは名→姓、テレビ局のチャンネル・ニュース・アジアは姓→名などと対応が分かれていたが。

 確かに同じ英語のニュースでも、たとえば中国の習近平国家主席は「Xi Jinping」、韓国の文在寅大統領は「Moon Jae―in」。自国で使われているのと同じ順番だ。そう考えると「Taro Kono」には違和感もある。

 シンガポールでも、リー・シェンロン首相に代表される多数派の中華系シンガポール人の場合は、姓→名が多い。ところがローレンス・ウォン教育相のように中華系でも英語名を使うひとは、名→姓を使っている。

 マレー系シンガポール人のハリマ・ヤコブ大統領の場合は、そもそも「姓」という考え方がない。マレー系では「自分の名前+父の名前」という名乗り方が多いからだ。

 インド系シンガポール人の場合も、姓という考え方をとらないことが多い。たとえばK・シャンムガム内相兼法相の「K」は父親の名前のイニシャルだ。でも、同じインド系でも「自分の名前→父親の名前」の順番で名乗るひともいるし、中には姓のようにファミリーネームを使うひともいる。

 さらにシンガポールには西洋系のひともいるし、他国からの移民もいる。インドネシア系などでは、名前のみ、というひともいる。たとえばインドネシアのスカルノ・初代大統領の名前は「スカルノ」のみ。

どうやって名前をつけるのか

 つまり、バラバラなのだ。

 さすがに記録を取っていると…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら

Think Gender

Think Gender

男女格差が153カ国中121位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]