トランプ氏が喜ぶ選挙法、続々と成立 黒人票が減るかも

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ワシントン=園田耕司
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 米南部ジョージア州で、有権者の投票行動を制限する内容を盛り込んだ選挙関連法が共和党の主導で成立した。標的とみられるのが、長らく共和党が強かった「レッドステート」(赤い州)の同州で民主党躍進の立役者となっているリベラル志向の強い黒人票だ。同様の規制の動きは全米各地に広がっており、民主党や人権団体は強い懸念を示している。(ワシントン=園田耕司)

郵便投票がやりにくく

 「昨年11月の選挙以来、私は我々の州の選挙は重要な改善が必要だと考えていた」。ジョージア州のケンプ知事は3月25日、州議会で法案が可決されると、こう胸を張った。

 法律で目立つのが、コロナ禍で急増した郵便投票への規制だ。米国の選挙制度では、不在者投票用紙を利用する場合、直接投票所には行かず、郵便投票によって投函(とうかん)できる。大統領選では、ジョージア州では投票者全体の4分の1以上にあたる130万人が郵便投票を利用するという史上最高の人数を記録。ところが今回の法律では不在者投票用紙の請求や投函(とうかん)に制限をかけ、郵便投票を利用しにくくするための規定が多い(=表)。

 そもそも今回の共和党主導の法律は「選挙不正」防止を名目としているが、選挙で巻き返しを狙う共和党の政治的な色彩は強い。同州は知事も共和党、州議会も共和党が多数を占める「レッドステート」だが、昨年の大統領選では民主党バイデン前副大統領(当時)が共和党トランプ大統領(同)に競り勝ち、上院選の決選投票でも民主党が2議席すべて勝利した。

 一連の規制で最も大きな影響を受けるとみられているのが、民主党躍進の原動力となっている黒人票だ。世論調査によると、大統領選と上院選の決選投票では9割前後の黒人有権者が民主党に投票。投票しやすい郵便投票によって、黒人有権者の投票行動も後押しされたという見方は強い。

 不在者投票用紙の投票について現在はサインだけで良いが、今回の法律で運転免許証または州政府発行のIDなどのデータを必須とし、手続きのハードルを上げた。さらに投票所前で列に並ぶ有権者に飲食物を差し入れることも禁止。地元の人権監視団体の調査によると、昨年6月の同州予備選では200~300人が列を作って並び、投票まで数時間待たされるケースが相次いだ。長蛇の列を作るのは、都市部に住む黒人有権者ら非白人が多い。

 地元民主党は今回の法律を「投票抑圧戦術」と激しく批判。法律の成立した3月25日には、黒人女性のパーク・キャノン民主党州下院議員が法律の署名式が行われている知事室のドアを抗議のためにたたき、その場で現行犯逮捕されるという騒ぎも起きた。

選挙結果は守ったけれど

 今回、ケンプ知事ら地元共和党を動かしたのは、トランプ氏が郵便投票を標的に繰り広げた「不正選挙」キャンペーンの影響が大きい。

 トランプ氏は大統領選後、ジョージア州で「大規模な不正が行われた」と根拠なく主張し、選挙結果を覆そうと画策を続けた。

 自身の要請に応じないケンプ…

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