魚の心筋、傷ついても再生 スイッチ入れる遺伝子解明

瀬川茂子
[PR]

 小型の熱帯魚ゼブラフィッシュは、心臓の細胞が傷ついても再生する能力を持つ。この再生を支える遺伝子を、国立循環器病研究センターなどのチームが見つけた。通常、哺乳類の心筋細胞は再生しないが、この遺伝子で再生させることができるか、今後調べていくという。米科学誌サイエンスに9日発表した。

 チームは、ゼブラフィッシュの傷ついた心筋細胞が、再生する時に働く遺伝子を調べた。とくに、さまざまな遺伝子を働かせる「スイッチ」役の遺伝子に注目して調べたところ、Klf1という遺伝子の働きが活発になっていた。Klf1はこれまで、赤血球ができる時に必要な遺伝子として知られていた。

 Klf1の働きを止めると、心筋の再生は抑えられた。健康な心筋でKlf1を7日間働かせてみると、1カ月後に心筋が約5倍に増えることもわかった。こうした結果から、Klf1がほかの遺伝子の働きを制御して、心筋再生で中心的な役割を果たしていると考えられるという。

 ゼブラフィッシュと違い、マウスなど哺乳類の心筋は通常は再生しないが、生後数日間だけは再生することが知られている。チームは今後、哺乳類の心臓でKlf1の役割や、人工的に働かせるとどうなるかなど調べていくという。

 チームの菊地和・再生医療部長は「心筋を再生する仕組みがわかれば、大量の細胞を移植する再生医療とは別の治療法の開発につながる可能性がある」と話している。

 論文は科学誌のサイト(https://science.sciencemag.org/cgi/doi/10.1126/science.abe2762別ウインドウで開きます)で読める。瀬川茂子