咽頭をぐいと拭った綿棒に…救急医、最前線のコロナ詠

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佐々波幸子
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 新型コロナウイルスの感染者数が急増し、「第4波」の到来ともいわれるなか、大阪府内の病院で救命救急医として働く犬養楓(かえで)さん(34)による歌集『前線』(書肆侃侃房(しょしかんかんぼう))が注目を集めている。2019年暮れから21年の年明けまでに詠んだ240首を収め、コロナ禍の医療現場の緊迫した状況を伝えている。

〈咽頭(いんとう)をぐいと拭った綿棒に百万人の死の炎(ほむら)見ゆ〉

 昨年9月末、新型コロナウイルスによる死者が世界で100万人を超えた。元凶となるウイルスは肉眼では見えないが、こんなにも多くの命を奪ったのか、と戦慄(せんりつ)する思いで詠んだ。それから半年経ったいま、死者は290万人を超え、日本では4月10日現在9389人が亡くなっている。

 「4月に入ってコロナの患者さんが急増し、昨年11月以降の『第3波』より、さらに速いペースで感染が広がっていると感じます。重症化している方の割合が多く、病床が逼迫(ひっぱく)しています」

 大阪府は7日、「医療非常事態」を宣言、府が確保している重症病床の使用率は8割を超えた。この歌集の終盤、「第三波」と題した章でもこのまま感染が拡大すれば、人工呼吸器や重症病床が足りなくなるかもしれないという不安を詠んだ。

〈何もかもシェアする時代の終末にふたりでひとつの人工呼吸器

〈「どうしても無理なら他をあ…

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