都内の駅の線路脇 大根すくすく20年

池田良
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 駅のホームで電車を待っていると、目の前にぽつんと苗が植えられていた。横にある札には「亀戸大根 かめの会」とある。駅になぜ大根?――。調べてみた。

 JR亀戸駅(東京都江東区)の線路脇では、地元名産の江戸野菜「亀戸大根」が駅員によって栽培されている。本来の業務ではないが活動は20年近くになる。異動で駅員が代わっても、毎年数本の大根を実らせているという。

 大根づくりは線路脇の敷地で。1メートル四方の植え込みを設け、毎年秋に種をまき春に収穫している。地元の名産をPRしたい商店主ら有志の取り組みに、当時の亀戸駅長が賛同し栽培することを提案した。管轄するJR東日本千葉支社によると、同支社内で野菜を栽培するのは亀戸駅だけだという。

 亀戸大根は1860年代の文久期から明治にかけて盛んに亀戸で栽培されていた。だがその後の宅地化で地元での栽培が一時途絶えたという。

 駅だけではなく、亀戸校区の四つの小学校の児童も栽培に協力している。毎年3月にある地元の神社での収穫祭では、育てた大根を奉納し大根を使った料理を皆で楽しんでいる。

 有志で作る「かめの会」会長の福地憲一(のりかず)さん(68)は「亀戸大根は通常の大根より実が細く、葉が長いのが特徴です。細く長く皆に愛されています」。地元の種が多くの人の手によって受け継がれていた。(池田良)