消えゆく新幹線回数券 「時代終わった」金券店主の嘆き

今泉奏
[PR]

 新幹線の回数券の廃止が相次いでいる。JR各社がネットで予約購入できる「チケットレス化」を進めているためで、割引切符の代名詞ともいえる新幹線回数券は風前のともしびだ。看板商品にしてきた金券ショップのなかには、苦境に立たされている店もある。

 JR東海は3月末、東海道新幹線の「東京―新大阪」「東京―名古屋」などの回数券の販売を来年3月末で終えると発表した。

 回数券は6枚セットが基本で普通車の自由席と指定席、グリーン車向けの3種類がある。今年3月末に山陽新幹線を含む46区間の販売をやめ、今回の追加の廃止で、東京―新大阪間の指定席とグリーン車の回数券は、すべて消えることになる。金子慎社長は4月8日の記者会見で、「(回数券の)販売実績が落ち、利用実態もネット予約を使うお客さまがだいぶ増えてきた」と説明した。

 JR東海は発足時の1987(昭和62)年から新幹線回数券を販売している。1枚あたりの値段は普通運賃より1割ほど安く、出張や家族旅行で使われてきた。だが、2001年にネットで予約や購入ができる「エクスプレス予約」が導入され、今年3月末現在で385万人が登録。年会費がかかるが、東京―名古屋の指定席は片道1万310円、東京―新大阪は同1万3620円で、回数券より300円前後安い。指定席利用者の半数近くがネットで購入しており、回数券の利用は減っているという。

指定席客、半分はネット購入

 他の新幹線でも廃止が進む。JR東日本は、「Suica」で新幹線に乗れるサービスを拡充し、今年3月から管内の全新幹線で利用できるようにした。これに伴い、3月末の自由席に続き、6月には指定席回数券の販売が全て終わる。JR九州も3月末に、「九州新幹線2枚きっぷ」の販売をやめた。

 ばら売りの新幹線回数券は東京など主要駅近くに集まる金券ショップの主力商品で、安いチケットを探して店を回る会社員らの姿もみられる。名古屋市の老舗の店主(50)は相次ぐ廃止に、「金券の時代は終わったのかな」と話した。

 名古屋駅近くの系列の店では、売り上げの3~5割が新幹線回数券だという。新型コロナウイルスの直撃で出張や旅行が激減したところに、回数券廃止が追い打ちをかける。「いつかはこうなると思っていたが。もう店が成り立たなくなる」と店主は嘆く。(今泉奏)