ネオテリウムの化石、国内で初発見 「太古のロマン」

杉山高志
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 原始的なセイウチ類を指す「ネオテリウム」の化石が、島根県邑南町高見地区内の約1600万年前の地層から見つかった。ネオテリウムの化石はこれまで北米大陸近辺でしか確認されておらず、国内では初の発見という。

 町教育委員会によると、国立科学博物館動物研究部(茨城県つくば市)の主森亘(とのもりわたる)支援研究員らのチームの研究で明らかになった。

 化石は高さ約5センチ、長さ約11センチ、厚みが約1・5センチで、右の下あごの骨とみられる。歯は欠落しているが、奥歯にあたる部分の歯槽は残っていた。大きさから推定すると、体長2メートル前後の成獣になる少し前の時期とみられるという。

 古代セイウチ類の化石は国内でも過去に発見例があるが、ネオテリウムは初めて。生息域が北太平洋の東岸だけでなく、西岸にも分布していた可能性が高くなり、主森研究員は「原始的なセイウチ類が一定以上の遊泳能力を持っていたことが示唆されたほか、その進化や分布域の解明につながる興味深い調査結果となった」と話している。

 化石は2010年に高見地区の地層を調査中だった住民が見つけた。哺乳類の骨と推定されたため、19年夏に町が学術的価値を調べようと、国立科学博物館に詳しい研究調査を依頼していた。今回の研究成果は、英国の学術誌「ヒストリカル・バイオロジー」の電子版に掲載された。

 高見地区では、これまでも貝類やサメの骨などの化石が見つかり、古代は海だったと推測されている。町教委生涯学習課の大橋覚・前課長は「驚きとともに太古のロマンを感じる。ふるさとのことを誇れる学習教材としても、子どもたちにしっかり伝えていきたい」と喜ぶ。

 化石は町内の施設で保管されているが、同町は今後、展示公開や郷土史学習への活用を検討する。(杉山高志)