日米同盟は「対中同盟」に 足りないのは日本の自信?

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聞き手 ワシントン=園田耕司 ワシントン=青山直篤
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 「新冷戦」と言われる米中対立激化のさなかに行われる日米首脳会談同盟国を巻き込んで中国と競争しようとするバイデン政権のもとで、日本の戦略はどうあるべきか。

神谷万丈・防衛大総合安全保障研究科教授

 バイデン政権の対中姿勢がトランプ政権に比べて甘くなるのではとの懸念は当たりませんでした。ただし、米国だけの力ではもはや中国と向き合えません。そこでクローズアップされたのが日本です。

 トランプ時代は同盟国との関係が揺らぎましたが、日米同盟だけは安倍政権を通じて例外的に関係が強化されています。「同盟関係の再構築」を掲げるバイデン政権は、これを活用したいわけです。

 ブリンケン国務長官が日米2プラス2会合で「同盟を再確認するだけではなく実行するために日本に来ている」と述べたことに私は注目します。これまで日本が米国の力を必要としていたのに対し、米国は日本の力をそれほど必要としていませんでした。しかし、今は米国にとって日本は頼りになる存在で、対中戦略でも実際の日本の行動への期待が非常に大きくなっています。2プラス2の合意文書を読むと、日米同盟は冷戦後の1990年代の安保再定義当時の「特定の国に向けられたものではない地域の安定化装置」という位置づけから、「対中同盟」的な性格に変わっているようにみえます。

記事後半では「日米両国がアジア太平洋地域についてもっと本音で議論するべき」と主張するスーザン・ソーントン元米国務次官補代行や、「日本は経済面で対中依存を深めており、難しい対応を迫られる」と話す白井さゆり・米コロンビア大経済学博士も登場します。

 このため、日米間には対中国…

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