正恩氏、90年代の経済危機に言及 結束高める狙いか

ソウル=神谷毅
[PR]

 北朝鮮金正恩(キムジョンウン)総書記は8日、朝鮮労働党の会議で1990年代後半に多くの餓死者を出した経済危機を指す「苦難の行軍」という表現を使った。韓国政府は背景を分析している。

 平壌では6日から党の末端組織の幹部ら約1万人を集めた「細胞書記大会」が開かれている。正恩氏は8日の閉会のあいさつで「人民に最大限の物質的、文化的な福利をもたらすため、全党の細胞書記が厳しい『苦難の行軍』を行うことを決心した」と述べた。朝鮮中央通信が9日報じた。

 北朝鮮は、国際社会の経済制裁新型コロナウイルスを防ぐ中朝国境封鎖で経済が厳しくなっている。地方で餓死者が出ているとの情報もあるが、韓国政府関係者は「苦難の行軍を訴えた対象は党の末端幹部で、全ての国民ではない。90年代ほど状況が悪化したわけではない」と指摘。正恩氏は1月の党大会で外部の力に頼らない「自力更生」の方針を強調しており、米国との対立が長期化するのに備えて体制内の結束を高める狙いがあるとしている。(ソウル=神谷毅)