温暖化で消失、巨大コンブの森を再生へ 豪タスマニア島

ホバート=小暮哲夫
【動画】「巨大コンブの森」を再生へ オーストラリア南部タスマニア島=アキナ・ハンセン撮影
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 温暖化で失われた巨大な「コンブの森」を再生しよう。オーストラリア南部のタスマニア島でこんな研究が進んでいる。たくさんの動物たちにすみかを提供してきた海中の森の回復には、日本人研究者も加わっている。

 北海道の8割の大きさの同島では、沿岸部の海中に高さが35メートルにもなるコンブ科の海藻、ジャイアントケルプ(日本名オオウキモ)の森が広がっていた。だが、気候変動で豪大陸の東から暖かく栄養分の少ない海水が流れ込むようになり、数十年の間に95%が失われた。

 そこで、タスマニア大学海洋南極研究所の研究者らが2018年、再生に乗り出した。まず、生息しているジャイアントケルプの中で気温が上がった海にも強い種類を特定。19年から培養した1ミリほどの幼苗を、同島東岸部の海底の岩場に植え付ける実験を始めた。そのうち、昨年後半に植えた2カ所の計150株ほどが半年で50センチ~1メートルに成長。この1年でさらに5メートルほどまで育つとみられるという。植え付けは今年も続ける。

 巨大コンブの森は、様々な魚やロブスター、アワビ、タツノオトシゴまで数百種類の野生生物のすみかになってきた。ダイビングで人気の場所でもあった。

 巨大コンブがなくなった海中では1メートルほどの別の海藻類が生えてきたが、これまでのような多様な生物たちの生息地になるかどうかはわからないという。研究を進めるケイン・レイトン博士は「コンブの森の再生は、多くの動物が住む陸上の森を再生するのと同じだ」と説明する。将来、住民や漁業関係者らの協力を得ながら、高温に強い種類を植え付ける場所を広げることも思い描く。

 研究には、大阪市出身でタスマニア大学・大学院で海藻類を専門にしてきた研究員の辰巳正幸博士(35)も加わっている。巨大コンブは世界各地でも生育するが、北米や南米などでも脅かされているといい、辰巳さんは「研究の目的は巨大コンブだけにとどまらず、海の生態系を回復し、守ることにある。知見を世界の研究者と共有したい」と話す。(ホバート=小暮哲夫