新種の肉食恐竜は「恐怖を与える者」 南米で化石発見

石倉徹也
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 ゾウほどの大きさで、強力な歯と巨大な爪、わずかな音も聞き分ける鋭い聴覚を持つ、最強レベルの捕食者だったとみられる新種の肉食恐竜の化石が、南米アルゼンチンの約8千万年前の白亜紀後期の地層から見つかった。アルゼンチンの研究チームが「恐怖を与える者」という意味の名前を付けた。

 パタゴニア地方から発見されたのは頭蓋骨(ずがいこつ)の一部。肉食恐竜アベリサウルスの一種とみられ、上あごに鋭い歯があった。ティラノサウルスのように短い前脚とたくましい後ろ脚を持ち、陸上を走って獲物を襲っていたとみられる。

 頭蓋骨で最も特徴的だったのは、耳の部分だ。鼓膜の奥にある中耳に、近い種の恐竜にはない「くぼみ」が見つかった。音が伝わる空間が広いため低い音が増幅されやすく、広範囲の音を聞き分けられたらしい。

 わずかな音の違いを聞き分けて獲物を捕っていたとみられ、「ルカルカン・アリオクラニアヌス(Llukalkan aliocranianus)」と名付けられた。現地先住民のマプチェ語の「恐怖を与える者」と、ラテン語の「珍しい頭蓋骨」の意味という。

 発見場所の地層からは、近い別種の恐竜の化石も見つかっている。恐竜はこの白亜紀後期に絶滅してしまうが、チームのアリエル・メンデス博士は「恐竜は絶滅直前まで新しい進化をし、急速に多様化していたのではないか」と話した。

 論文は3月、古脊椎(せきつい)動物学誌(https://doi.org/10.1080/02724634.2020.1877151別ウインドウで開きます)に掲載された。石倉徹也