ベナンから「日本酒送って」 詐欺きっかけに国際交流

篠原大輔
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 西アフリカのベナン共和国と奈良県天理市が、不思議な縁で国際交流に発展しそうだ。きっかけは「取り込み詐欺」だった。

 駐日大使のアデチュブ・マカリミ・アビソラ氏が3月15日、天理市役所を訪れ、並河健市長と会談した。今後、様々な面で交流を模索していくことで合意した。会談には市内の酒を扱う商社「シマヤ」の社長、粂(くめ)宏明さん(54)が同席した。

 粂さんが今回の訪問の経緯を教えてくれた。

 「日本酒を送ってほしい」。シマヤに昨年9月、ベナンのバイヤーと名乗る人物からメールが届いた。西アフリカの国からの注文は初めてだった。JETRO(日本貿易振興機構)やベナンの日本大使館に尋ねると、アフリカで日本酒の消費があるのはナイジェリアコートジボワールやトーゴぐらいだという。

 嫌な予感がして、発送を見送った。すがるような気持ちで、11月にベナンの駐日大使館(東京)にメールを送った。すると1カ月ほどして日本語で返事があった。「おそらく架空の会社だと思います。取り込み詐欺の可能性が高い」とのことだった。

 年が明けて今年2月、今度は逆にベナン大使館から「日本のお酒を輸入したい会社がある」との連絡があった。奈良の地酒など日本酒やワイン、梅酒のサンプルを送った。その後、「3月に大使が関西に行くので、天理にも寄りたい」とも知らせてきた。

 粂さんは驚いたが、せっかくだから、外務省出身で在エジプト日本大使館での勤務経験もある並河市長にも会ってほしいと考えた。天理市内の大和農園とベナンの間で、もともと交流があったことも分かった。

 天理市役所への訪問の後、地元の稲田酒造へも連れて行った。大使は天理の米を使った日本酒の利き酒をし、特に「大和高原 氷室のさと 天理福住」がお気に入りだったという。

 大使は「今後、経済的にも学術面でも交流できるように情報提供します」と語った。粂さんは「日本のウイスキーの需要も高まっているらしいので、ベナンに初めて入っていく企業の一つになりたい。酒を売るだけではなく、日本の文化や農家の仕事、伝統を伝えることも大事と考えています」と話している。(篠原大輔)