素粒子物理学の根幹崩れた? 磁気の測定値に未知のずれ

有料会員記事

石倉徹也
[PR]

 素粒子物理学の基礎である「標準理論」で説明できない現象を捉えたと、米フェルミ国立加速器研究所が7日、発表した。素粒子ミューオンの磁気的な性質が、理論で想定される値から大きくずれていたという。理論が想定していない力が働いていたり、未知の素粒子が影響したりしている可能性がある。事実ならノーベル賞級の成果で、物理学の根幹が大きく揺らぐことになりそうだ。

 ミューオンは、電子の約200倍の重さがある素粒子。チームは、光速近くまで加速させたミューオンを直径14メートルの巨大なリングに送り込み、磁気的な強さを精密に測定する実験を2018年から続けていた。その結果、測定値が標準理論が予言する値からずれていた。約20年前に米ブルックヘブン国立研究所が行った実験でも似た結果が出ており、異なる実験がいずれも理論から逸脱した実験結果を出したことになる。

 標準理論は、素粒子物理学が100年以上かけて構築してきた根幹の理論。これまでの素粒子実験の結果をほぼ矛盾なく説明できており、2012年には、標準理論が予言した17種類の素粒子で最後まで見つかっていなかったヒッグス粒子も発見された。

 今回の結果が正しければ、ミューオンが標準理論から外れた振る舞いをしたことを意味する。未発見の粒子や力がミューオンと反応した可能性があるとチームは指摘。例えば超対称性粒子などが影響を及ぼしている可能性があるという。

 とはいえ、今回のデータが正しい確率は99・997%(4・2σ(シグマ))で、物理学で発見と言える99・9999%(5σ)には達していない。チームは今後、数年かけてさらにデータを分析し、追加の実験も進めるとしている。フェルミ研のジョー・リケン副所長は「ミューオンのわずかな振る舞いを解明することが、今後の物理学の指針となるだろう」と語った。

 今回の結果について、立教大

この記事は有料会員記事です。残り398文字有料会員になると続きをお読みいただけます。