エリート批判に配慮 フランスが高級官僚養成校を廃止へ

パリ=疋田多揚
[PR]

 フランスのマクロン大統領は8日、歴代の大統領や首相を輩出し、高級官僚の養成機関として知られる国立行政学院(ENA)の廃止を表明した。より幅広い学生を受け入れる「公務学院」をつくるという。大統領選を1年後に控えて支持率が伸び悩む中、エリート批判に配慮する姿勢を見せて人気回復を狙う格好だ。

 ENAは1945年、のちに大統領になるドゴール将軍が、戦後の国家再建を託して創設した。毎年100人弱が入学を許されるエリート中のエリートを育てる機関。卒業時の成績順で会計検査院などの「一流」官庁に幹部候補生として就職できる。

 マクロン氏やカステックス首相のほか、オランド前大統領、シラク元大統領らが学び、政財官を支配するフランスのエリート社会を象徴する組織だ。

 マクロン氏は8日、幹部官僚とのオンライン会議で、「わが国は歴史的な感染(の危機)に直面している」として組織改革が必要だと主張。ENAを廃止して公務学院に再編する。入学者の社会層を広げる考えを表明した。高級官僚養成機関の位置づけは変わらないが、卒業後数年間は地方などの現場で働くよう仕組みを改めるという。近くカステックス首相が詳細を説明する。

 ENAの廃止は、燃料税の引き上げ方針をきっかけに全土に広がった反政府デモのジレジョーヌ黄色いベスト)運動に危機感を抱いたマクロン氏が、2年前に意欲を示していた。いまは新型コロナウイルスの感染拡大を防げず国民に失望感が広がっている。卒業生らは仏メディアに「大統領選を前にパニックに陥った反応で、ポピュリズムだ」と批判。世論調査ではエリート批判を持論とする国民連合のルペン党首に並ばれており、(人気回復のために)「ENAが犠牲になった」(仏紙フィガロ)とも伝えられている。(パリ=疋田多揚)