カラオケ喫茶を訪ねると 生きがいと感染対策、集う人々

有料会員記事新型コロナウイルス

山口啓太、藤野隆晃
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 コロナ禍の中でもカラオケ喫茶を楽しむ人たちがいる。感染例が報告されても、思わず足が向く。なぜ、ここまで引きつけられるのか。経営側も利用者も、感染対策に力を入れているという店を訪れてみた。(山口啓太、藤野隆晃

 7日昼、広さ20畳弱の東京都内のカラオケ喫茶。飛沫(ひまつ)防止フィルムで一席ずつ区切られたコの字形のソファには、

高齢の男女約10人が座っていた。歌う人は、前に出てマイクを握る。ここにも透明なついたてが置かれている。業界団体はマスクを着用して歌うことを呼びかけているが、外して歌う人が多かった。

 曲の合間に会話する人はほとんどない。昭和のヒット曲「船頭可愛や」やゆずの「栄光の架橋」などが歌い上げられると、拍手が起きた。

 この店では、検温や消毒はもちろん、マイクは1人1本にして、外につながるダクトも新設。二酸化炭素濃度を測る機器も置いた。看板は出さず、来店するのは予約した常連客中心だ。

 カラオケ喫茶ではこれまで、北は北海道、南は九州まで各地でクラスター(感染者集団)が報告された。狭い空間、共有されるマイク、大きな歌声……。様々な原因が考えられ、高齢者の感染も数多く確認されているが、この店の利用者では今のところ、感染者はいないという。

 ここまで対策を施してでも集いたい。場を提供したい。その理由は何だろう。

 「お客同士で近況報告をするのが生きがい。みんなもそうだと思うよ」。通って3年ほどという70代男性はその理由をこう語った。「みんなが歌を聞いてくれるのが楽しい。ここに来て若さを保っているんだ」

 75歳の女性は4年前にひざを手術し、好きだったダンスができなくなったため訪れるようになった。コロナ禍で旅行にもいけず、「年をとるとこういう楽しみしかなくなる」と言う。「感染する怖さはあるけれど、店の対策を見てここなら大丈夫だろうと思った。ここが生きがいなの」。表情を和ませた。

 60代の男性オーナーは、常連客の「ここがなくなったら行くとこがない。頑張って」という言葉に背中を押されている。

 ただ、9日には政府が東京都などに「まん延防止等重点措置」の適用を決定するなど、感染状況は悪化の一途をたどる。過去2回出された緊急事態宣言下では臨時休業した。今後、カラオケ店への営業自粛要請などがあれば従うつもりだ。

 「『昼カラ』が感染の原因と言われると、社会の中で居場所がないように感じる。早く感染が収まるよう協力したい」と話した。

専門家「集団の会合、常に立ち止まって考えて」

 全国カラオケ事業者協会(東京都品川区)は昨年5月、カラオケのある店に「感染拡大予防ガイドライン」を提示。「定員の半数以下を目安に入場を制限する」「常時吸排気口を稼働させる」など、40近くの条件を満たした店には認定ステッカーを配布している。

 協会は、利用客には、体調の…

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