伝統校相撲部初の女子部員 無心で押して気づいた成長

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渡部耕平
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 伝統ある青森県五所川原農林高校の相撲部で、葛西里澄夢(かさいりずむ)さん(16)は初の女子部員だ。「県で一番強くなりたい」。4月から2年生になり、土俵に懸ける思いをますます強くしている。

 初めて相撲をとったのは、鶴田町の鶴田小学校3年のとき。校内の学童相撲大会で優勝した。「一瞬で勝負が決まるところが好き。勝ち負けもはっきりしている」

 鶴田中学校で相撲部に入り、本格的に稽古を始めた。3年生で出場した全日本中学生女子相撲大会の重量級で3位に。迷わず、高校でも相撲部に入った。中学時代も女子部員は1人だったので、「今も状況はそんなに変わらないです」と笑う。

 5歳上の兄も相撲部に入っていた「五農」は、大相撲の元関脇・出羽の花(現・出来山親方)ら関取5人が輩出し、全国高校総体で優勝した歴史もある。1936年の創部以来初の女子だが、気負わず、のびのびと力をつけている。

肝心なのは、押す力の範囲を分散させないこと

 身長160センチ、体重77キロ。堂々とした体格だが、男子部員のほうが一回りも二回りも大きく、稽古ではなかなかかなわない。一番とると顔が紅潮し、二番とると息が荒くなり、三番とると髪も乱れてくる。押しても押しても相手がびくともせず、悔しくて泣きたくなる日もある。でも、くじけない。「県で勝って、全国大会でも良い成績を残したい。そのために、我慢して頑張ります」

 この1年間で鍛えられ、得意の型が身についてきた。立ち合いからすぐ左手で前まわしをつかみ、右手で押して前に出る。押し切れなければ、前まわしを使って相手を崩して、出し投げを打つ。新年度は、立ち合いで左足を踏み込む速さに磨きをかけるつもりだ。

 肝心なのは、押す力の範囲を分散させず、相手の体の一点に集中させること。無心で押していると、「あ! うまくいった」と感じる瞬間が増えてきた。成長の証しだ。

 個性的な名前には、「ふる里に澄んだ夢をはこぶ」という願いが込められている。「私が頑張れば、小さい女の子たちが高校相撲をめざしてくれるかもしれない」。そんな夢を思い描きながら、春の稽古に励んでいる。(渡部耕平)

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男女格差が153カ国中121位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ]