コロナ禍の考古館、発信手法注目され執筆依頼続々 岐阜

山下周平
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 アクセスが悪いことを逆手にオンラインツアーなどに挑戦してきた岐阜県飛驒市の「飛驒みやがわ考古民俗館」の取り組みが、コロナ禍の博物館の発信のあり方として注目を集めている。学芸員への執筆依頼が相次ぎ、専門書籍への掲載が続いている。

 市が運営する「飛驒みやがわ考古民俗館」は男性器を模した石器「石棒」の国内屈指の収蔵数を誇る。市中心部から車で1時間ほど離れた富山県境にあり、雪も多いため、冬季は閉鎖され、年間で30日ほどしか開館しない。

 しかし、新型コロナが広がった昨春には全国に先駆けてテレビ会議システムを使ったオンラインツアーを開催。撮影や解説、司会など役割を分け、館内を案内した。全国の博物館関係者から注目され、参加も相次いだ。ツアーの反響もあり、民俗館の学芸員、三好清超さん(44)には執筆依頼が相次いでいる。

 三好さんは今年1月刊行の専門誌「季刊 考古学」(雄山閣)に、2月には全国の学芸員らがコロナ禍での博物館の役割を考える「発信する博物館 持続可能な社会に向けて」(ジダイ社)に執筆した。いずれもオンラインツアーに触れ、コロナ禍でも博物館をPRできることを示した。

 アクセスの悪さや開館日が限られていることなどで、民俗館は存亡の危機にあったが、その弱点を逆手にとったPRを2年前から始めた。学芸員や会社員らが有志の団体「石棒クラブ」を結成。普段は入れない民俗館のバックヤードでツアーを開いたり、SNSを駆使してPRしたりするなどして、館のファンを増やしてきた。

 現在も同様の執筆依頼に追われている三好さんは「人口減少が進む街の博物館のモデルになり、地域に愛される民俗館を目指して活動していきたい」と話している。(山下周平)