ノーベル賞大村さんの生家を再生 移住お試し無料宿泊も

岩城興
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 ノーベル医学生理学賞を受けた北里大学特別栄誉教授大村智さん(85)の生家「蛍雪寮(けいせつりょう)」=山梨県韮崎市神山町鍋山=が先月、再生改修の工事を終えた。市は歴史的な価値を生かしつつ、内部は現代の快適な空間に仕上げた。今月から主屋(おもや)と土蔵を、集い学ぶ場や移住希望者の体験住宅として活用する。10日、リニューアルを祝う式典があった。

 市教委によると、主屋は1907(明治40)年ごろ建てられたとされる養蚕農家。切り妻造り瓦ぶき屋根の木造平屋で、土間と板間、和室がある。土蔵は16(大正5)年ごろの建築で2階建て。大村さんが山梨大学を卒業するまで、座敷に改造した2階を勉強部屋にした。

 いずれも昨年4月、国の登録有形文化財(建造物)に指定され、それを機に市に寄贈された。年月の経過で傷みが進んでおり、市は1年かけて解体・再生に取り組んできた。文化庁に相談しながら、はりや柱など修復で済む部分を残す一方、一部部材を新材に置き換えて耐震性を高めた。

 再生にあたっては、古い写真や大村さんへの聞き取りを元に、できるだけ昔の姿を再現したという。また一部増築して給湯室やトイレを設け、使い勝手にも配慮した。

 今月から主屋は「セミナーハウス」、土蔵1階は「シェア(共同)キッチン」とし、研修や展示会などの会場に。土蔵2階は移住体験の「お試しハウス」で、山梨県外在住者に使ってもらう。和室2間があり、定員は最大2組8人ほど。無料で2~6泊、滞在できる。冷蔵庫や洗濯機、テレビを備え、風呂は近くの温泉施設を使う。

 10日の式典には、大村さんは所用のため出席できなかったが、内藤久夫市長ら約30人が出席した。内藤市長は取材に「大村先生の偉業と、郷土の歴史を感じられる建物。先生は取り壊しも一時考えたというが、学びによる人材育成と、市内外の人々が交流する拠点として生まれ変わり、とてもうれしい」と話した。

 問い合わせは、セミナーハウスとキッチンが管理運営の韮崎大村美術館(0551・23・7775)、お試しハウスが市総合政策課(0551・22・1111代表)へ。(岩城興)