きっかけは1枚の付箋だった 「80才」が変えたバス停

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角詠之、鶴信吾
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 東京都心のバス停に誰かが置いた1脚の椅子。その座面に貼られた1枚の付箋(ふせん)がツイッターで話題になったのは、昨年11月のことだった。

 「青学前にはイスが有ります。二丁目にないので、80才の私 バスを待つ間使わせて下さい」

 椅子は、東京・渋谷の国道246号(青山通り)に面した都営バスのバス停「渋谷二丁目」に置かれていた。若者でにぎわうJR渋谷駅から北東に400メートルほどの場所で、近くには青山学院大学国連大学がある。

 近くの飲食店員や利用者によると、利用者が多いわけではないが、曜日や時間帯によってはお年寄りが利用するバス停だという。

 バスを待つ人が座るためのベンチはなく、いつの間にかこの椅子が置かれていた。お年寄りが腰かけたり荷物を置いたりするようになった。

 道路を管理する国土交通省の国道事務所がこの椅子を見つけ、赤字の「警告文」を貼ったのは昨年11月12日だった。

 住民とともに定期的に実施しているパトロールの最中で、「道路不正使用」「至急撤去して下さい」と記した定型の用紙を使った。

 無許可で道路に物を置くことは道路法などで禁じられている。国交省によると、椅子などは風で飛ばされる危険性があるからだ。こうした物は道路管理者が撤去するか、持ち主に撤去を促すケースが多いという。

 この椅子がネットで話題になったのは数週間後のことだった。座面に貼り付けた警告文の上部に並べるように貼られた付箋を写した写真がツイッターに投稿されたのがきっかけだった。

 「捨て椅子かと思って近づいたら、80才のお婆(ばあ)さんの切実な思いが綴(つづ)られていた」

 そう記した投稿は1万回以上リツイートされ、4万8千件を超える「いいね」が押された。

 賛否両論の議論も起きた。

 「使わせてあげて」と撤去に否定的な声だけでなく、「いかなる理由でも違反行為」と撤去を支持する声も上がり、論争はネットに広がった。

 なぜ管理者がベンチを置いていなかったのか。

 東京都交通局は約3800カ…

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