「処分に困っている」 賞味期限切れのアレが紙に変身

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桜井健至
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 奈良県の中小企業がこのほど開発したA6とB6の2種類のノート。しっとりとした質感で、にじみにくく、書き心地もしっかりしている。ふつう紙の原料は木材由来のパルプだが、このノートはある意外なものが混ぜられている。そのあるものとは?

 4月上旬、紙の卸しを手がける奈良市の企業「ペーパル」の倉庫を訪れると、紙に使われる原料が詰まった段ボール約50箱が積まれていた。いずれも他府県からわざわざ運び込まれたものだ。取締役の矢田和也さん(33)は「全部、自治体から無償で譲ってもらいました。どこも相当余っていて、処分に困っているみたいです」と話す。

 ペーパルが新しい材質の紙を開発したのは今年2月。これまでにノートのほか、名刺や封筒、企業や自治体向けのパンフレットもつくった。

 新しい紙の名前は「kome-kami(コメカミ)」。そう、この紙に使われているものとは、私たちの主食であるコメだ。自治体で災害用備蓄米として保管されていたコメで、賞味期限が切れたので、廃棄する予定だったという。

 ノートや名刺は、コメカミ事業へのクラウドファンディング(CF)の返礼品の形で、4月14日から販売する。B6ノート4冊セット5465円(送料・税込み)など。売り上げの1%が生活困窮者に食料支援する「フードバンク」の活動に寄付される。詳しくはCFサイト(https://www.makuake.com/project/kome-kami/別ウインドウで開きます)から。

 なぜ、矢田さんたちはコメで紙をつくろうと考えたのか。

 昨年2月、知人から誘われた矢田さんが、奈良県内の起業体験イベントに出席したのが開発のきっかけだった。

 そこで、イベントを運営していた滋賀大経済学部の山下悠准教授(40)から、自治体の災害用備蓄米の多くが余っている現状を聞いた。賞味期限が近づいたらフードバンクなどに活用してもらうなど消費する努力をしているが、配りきれないまま、廃棄してしまうことも多い。

 食品を捨てるのはもったいないが、廃棄するのも、お金がかかっている。しかも、そのお金の出どころは、私たちの税金だ。

 「備蓄食品の廃棄を減らすにはどうすればいいだろうか」。イベントの出席者で知恵を出し合うなか、矢田さんはひらめいた。

 「そのコメ、紙にしてはどう…

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