岐路に立つ文化財の修理 増す必要性、細る人材と原材料

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編集委員・中村俊介
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 私たちがいま、歴史的な絵画や美術工芸品を目にできるのは、決して偶然ではない。先人の財産を後世に残すため、欠かせないのが文化財の修理だ。受け継がれてきたプロフェッショナルの技がそれを支える一方で、伝統技術の継承や素材の入手が危ぶまれている。

 格調高い仏画や彫刻、美しい古美術品たち。が、これらはみな修理を終えた姿で、見る者はその事実を忘れがちだ。

 京都国立博物館京都市東山区)は昨年暮れから今年にかけて「文化財修理の最先端」展を催した。京博敷地内にある文化財保存修理所の開所40周年を記念し、普段目に触れることのない地道で複雑な修復過程や関係者の苦労に焦点を絞った特別企画だ。随所に修復以前の展示品や作業風景の写真パネル、解説板を掲げた。

 修理所では、彫刻などを手がける「美術院」や文化財修復のプロで構成された国宝修理装潢(そうこう)師連盟に加わる複数の工房の技術者ら約150人が、磨き上げたいぶし銀の職人技を駆使して働く。大原嘉豊・保存修理指導室長は「技術者や研究者、所有者らが集い、集合知となって修理を展開してきた。研究者が何を考え、技術者はどう修理したか。その歴史や苦労を残したい」。

何度も修理を経てたどり着いた、奇跡の姿

 日本古来の文化財はその多く…

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