まずはくっちゃべりませんか? 核ごみ問題、動いた町民

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伊沢健司
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 まちの将来について、どんなことをしゃべってもいい。聞きたいことは何を聞いてもいい。その名も「くっちゃべる会」。北海道寿都町の町民たちが始めた取り組みだ。町では「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた文献調査が始まり、調査推進派の町長らと反対派の住民の対立で問題を口に出しづらい雰囲気もある。でも、そんな状況を変えたい。だから会を主催する町民は賛成、反対を問わずに呼びかける。「みんなでぼちぼち、くっちゃべりませんか」

拡大する写真・図版「くっちゃべる会」のルールを手書きで記し会場に張り出した=北海道寿都町、「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」提供

 進行のルールは簡単だ。参加者は互いに自由に話し、質問できる。ただし相手の話を決めつけないでよく聞く。話したことは他言せず「この場限り」。言いたくないことは言わなくてもいい。1回2時間ほどで、町外のファシリテーター(進行役)が手伝う。1~3月に月1回開かれた。

 この取り組みを始めたのは、「子どもたちに核のゴミのない寿都を! 町民の会」。文献調査に反対する町民による団体だ。ただ、話し合いのテーマに据えたのは核のごみでない。「今までの寿都のこと、これからの寿都のこと」。町民どうしが顔を合わせ、町の将来を話すことを重視した。

 町では昨年8月、片岡春雄町長が文献調査への応募検討を表明し、2カ月後に正式に応募した。片岡町長や推進派の町議らは、2年の調査期間で得られる最大20億円の交付金による町の活性化に期待する。

 反対派は住民投票を求めてきたが、昨年11月に文献調査が始まった。町議会では文献調査前の住民投票を行う条例案は否決され、核のごみを町内に持ち込ませない条例も否決された。事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は今年3月、町内に事務所を開設。町民へ理解を求める活動を活発化させる。

拡大する写真・図版NUMO寿都交流センター。3階建てで1階部分のみを使う予定=2021年3月26日午前10時52分、北海道寿都町、伊沢健司撮影

 核のごみで町民の意見が割れるなか、町民の会の共同代表の三木信香さん(49)は、しだいにママ友と話す機会が減った。相手が賛成なのか反対なのか気になってしまっただけでなく、反対派の自分と話しているところを見られると「迷惑をかけてしまうかもしれない」と思ったからだ。顔を合わせても、核のごみの話題を避けるようになった。

 今年10月には町長選がある。調査を推進する片岡町長は6選をめざす意向を表明した。対抗馬はまだ出ていない。そうしたなか、町民の会の女性たちを中心に「今できるのは、とにかく、寿都の将来について話すことだ」との意見が出た。「対話の場」として、「くっちゃべる会」を始めることにした。

 町の将来を話し合ったり決め…

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