鹿児島・トカラ列島、3日で地震200回超 島民は警戒

町田正聡、仙崎信一、藤原慎一、安田朋起
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 鹿児島県のトカラ列島近海で9日夜から地震が相次ぎ、12日までに震度1以上が計200回を超えた。同県十島(としま)村の悪石(あくせき)島では震度4を5回観測し、住民に不安が広がっている。過去に地震が多発した地域でもあり、専門家は「今後も数週間程度続く可能性がある」と指摘している。

 福岡管区気象台によると、体に感じる揺れは12日午後4時までに計215回。このうち震度4は4回で、地震の規模を示すマグニチュード(M)は最大で5・3と推定される。震源の深さはいずれも約20キロ。午後11時ごろにも震度4の地震を観測した。

 この海域では過去にも地震が多発している。2000年10月2日にM5・9の地震が起き、悪石島で震度5強を観測。震度1以上は12月末までで50回に上った。11年2月3~7日には14回、16年7月1日~12月24日にも87回を観測した。

 海域は火山島が多く、地下深部からマグマが上昇しているとされる。九州大地震火山観測研究センターの清水洋特任教授は「一般論で言えば、地下のマグマや熱水などの流体が関わる群発地震の可能性が考えられる」とみる。熊本地震のように活断層そのものが動くのでなく、流体の圧力によってM4~5程度の地震が起きる。その場合、体に感じる揺れが数週間ほど続く可能性があるという。

 鹿児島大学南西島弧地震火山観測所の仲谷幸浩特任助教(海域地震学)は、今回の地震について「M4以上は(地下で断層面が水平方向に動く)『横ずれ断層型』が多く見られる」と指摘。南海トラフや近くの諏訪之瀬島の火山活動との関連については、距離や規模などから「考えにくい」との見方を示した。ただ、現在も活動が続いていることに加え、震源が海底下のため群発化の要因を結論づけることは現時点では難しいという。「震源の分布を精査し、メカニズムを解析することが欠かせない」と話した。

 相次ぐ揺れに、地元では警戒感が高まっている。十島村悪石島小中学校(児童・生徒9人)の中村勲校長は「昼も夜も一日中、断続的に揺れています」と話す。児童らには、揺れにも慌てずに訓練通り行動し、海辺や山の崖には近づかないよう伝えた。民宿を営む有川和則さん(69)は00年10月の震度5強の地震も経験した。「地震の回数があのときよりずっと多い。揺れも弱まってきたかと思うと強い揺れが起こる。これからの時期、雨が降ったら崖崩れも心配です」。宿泊の予約は断っているという。

■島に70人、3世帯に自主避難呼びかけ

 十島村によると、悪石島には12日午前8時現在、70人(島内者62人、島外者8人)がいる。人や建物への目立った被害は確認されていないという。

 「昼も夜も一日中、断続的に揺れています」。そう話す村立悪石島小中学校(児童生徒9人)の中村勲校長は同校に赴任して3年目。今回のように相次ぐ地震は初めてという。児童らには、揺れが来たときは慌てずに訓練通り行動し、海辺や山の崖には近づかないよう伝えた。「当初は不安がる子どももいたが、今は比較的落ち着いています」

 島で生まれ育ち、民宿を営む有川和則さん(69)は2000年10月の震度5強の地震も経験した。「地震の回数があのときよりずっと多い。揺れも弱まってきたかと思うと強い揺れが起こる。その繰り返し。もっと大きな地震がきたらと、不安になる。これからの時期、雨が降ったら崖崩れも心配です」。今は宿泊の予約も断っているという。

 十島村の肥後正司村長は12日、鹿児島市村役場で記者会見を開いた。「被害はほとんどなく、住民も混乱している状況ではない」と説明。ただ、13日の天気予報が雨のため、地震による亀裂などから土砂崩れが起きる恐れがあるとして、港近くの集落3世帯5人(10~80代)に高台への自主避難を呼びかけた。うち1人は島外からの「山海留学生」の中学生だという。島外避難については「今のところ考えていない」と述べた。

 今後の心配事として肥後村長は水の確保を挙げた。集落の裏にある水源地(湧き水)が地震の影響を受けると水が供給できなくなる恐れがある。13日に鹿児島市を出る定期船を利用し、悪石島に水を入れた500リットルタンク8個を届ける予定。電気や食料については特に問題はないという。

 今後、地震の規模が大きくなり、震度5を記録した場合は災害警戒本部をつくる。現時点では住民から島外避難の要望はないが、山海留学生の保護者から心配する問い合わせは来ており、「地震が大きくなるようであれば県を通して関係機関に協力を求めていく」との考えを示した。肥後村長は「島民は落ち着いているが、これ以上揺れが大きくならないことを祈っている」と話した。(町田正聡、仙崎信一、藤原慎一、安田朋起)