北アイルランドで暴動多発 EU離脱の英「奇策」に不満

会員記事

ロンドン=和気真也
[PR]

 英領北アイルランドで、英国統治を望むプロテスタント系住民と、アイルランド統一を求めるカトリック系住民との対立に絡む暴動が多発し、地域が緊張に包まれている。背景にあるのが英国の欧州連合(EU)離脱が生んだ「国境線」問題だ。政治家らの呼びかけでいったん沈静化したが、かつて30年に及ぶ住民紛争が続いた土地だけに警戒感が広がる。

 英メディアによると、暴動は3月末、北西部のロンドンデリーで始まった。12歳の少年を含むギャング団が警察車両などに火炎瓶やれんがを投げつけたなどと報じられた。

 その後、騒ぎは他の都市に拡大。今月7日には最大都市のベルファストで、プロテスタント系住民が多く住む地区と、カトリック系住民が多い地区を分ける「平和の壁」付近で若者らが衝突。警察官らが襲われ、路線バスが焼かれるなどの騒動に発展した。これまでに100人近い警察官が負傷したとされる。

 かつての北アイルランド紛争は、主にカトリック系武装組織アイルランド共和軍(IRA)のテロ行為などが問題だったが、今回は、プロテスタント系が中心の騒ぎとみられる。

 引き金の一つになったのは、昨年あったIRA元幹部の葬儀。IRAの政治部門「シンフェイン党」の政治家がコロナ感染対策のルールを破って多数参列したが、地元警察当局は今年3月末、立件を見送った。

 ただ、暴動の背景には英国がEUを完全離脱するために生じた国境問題への不満があるとの見方が多い。

 英国のジョンソン政権はEUを離脱する際に、通商上は北アイルランドを英国から切り離し、EU側に残した。島内に、住民の対立感情をあおる関税施設などをつくらないための「奇策」だが、北アイルランドと残りの英国には、貿易上の境界が引かれた。

 このため同じ国なのに、首都ロンドンがあるイングランドスコットランドなどから北アイルランドに入る食品などには検査が必要になり、1月には一時、スーパーの棚が品薄になる事態が起きた。特にプロテスタント派は、英国内で切り離された印象を強く抱かせるこの事態に憤っていた。

 暴動に対しては、北アイルラ…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら