「私のマル」どこにでも描いた 「具体」出身の前衛画家

滝川直広
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 前衛画家小野田實(1937~2008)の回顧展「私のマル 小野田實展」(朝日新聞姫路支局など後援)が、姫路市立美術館兵庫県姫路市本町)で開かれている。画面に「マル」を大量に並べた抽象画などで知られる小野田の、初期から最晩年までの作品やスケッチを展示している。

 小野田は抽象画を手がけ始めた1961年、「繁殖絵画論」を発表、その中で「私のマル」を登場させている。工場で同一製品を大量生産するイメージを客体化するために選んだのが無数の円形と線だとし、「どこにでもマルを描き続ければ私の作品になるのである」と記している。

具体美術協会」出身の小野田實

 65年から72年までは前衛アーティスト集団「具体美術協会」に所属。近年、世界的に「具体」が再評価される中で小野田作品も評価が高まり、世界の著名な美術館に収蔵されるなど、作品の「海外流出」も多くなっているという。

 小野田は、ある程度の年月がたつと作風を変えた。それでも「マル」は一貫して使い続ける。最初は画面上におびただしい数の円を描いていたが、画面の中心に描いた小さな円を基点にいくつもの円環を配置する作風に。晩年は円を描くのではなく、丸い穴を開ける手法に変化していく。

 小野田の長男、アーティストのイサさん(48)は「父は、『私のマル』を60年代から亡くなるまで一貫して制作した。マルを描くという行為をシステム化し、システムとしての絵画制作を実践した」と話している。

 今回の展覧会について、同館の不動美里副館長は「郷土の美術館として、どこにもできない規模の大回顧展を開くことが使命との思いで準備してきた。240点余の作品が一堂に見られるスケールは二度とない」と話している。

 6月20日まで。一般800円、大学・高校生600円、中学・小学生200円。同館のコレクションギャラリーでは「具体美術協会の作家たち」(無料)も同時開催されている。5月3日を除く月曜日と5月6日休館。(滝川直広)