聖火、つながったのか 公道外、閉じた公園内のリレー

甲斐江里子
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 大阪府での聖火リレーの初日、13日を会場で一日中、取材した。

 全国初の公道外のリレーは、始まりから静かだった。第1走者の歌舞伎役者、片岡愛之助さんがゆっくりと走り出したが、歓声はない。聞こえるのはスタッフの拍手と報道陣のシャッター音、空撮のヘリコプターの音ばかりだった。それ以降の走者も状況は変わらなかった。

 新型コロナウイルスの急速な感染再拡大で、大阪がまん延防止等重点措置の下になり、公園を閉め切って無観客での実施だった。沿道で見守ったのは、招待された家族らがランナー1人あたり4人までと、報道陣だけ。「観客」よりも明らかにスタッフの方が多かった。曇り空の下、公園内の人はまばらな印象だった。

 警戒にあたる警察官も目立った。聖火をつなぐポイントでは複数の警察官があたりを見回し、公園内では警察犬が歩いていた。ランナーの中には「無観客なのに物々しい」と驚く人もいた。

 それでもランナーからは「走れて良かった」と言う声が続いた。一方で、公園外の市民からは「こうした状況でやる意味はあるのか」という声も聞いた。ランナーを見守る家族から「多くの人たちに見て欲しかった」という話を聞き、歯がゆい思いを抱いた。

 大阪府の新規感染者数は13日、1千人を超え、兵庫県も過去最多だった。感染急拡大は関西だけの話ではない。今後、聖火リレーは四国や九州を回って中国、東北と向かう予定だが、各地で予定通り実施できるとは限らない。

 東京五輪の大会組織委員会によると、聖火は平和、平等、融合といった人類共通の理念を呼び起こす。聖火リレーはそうした五輪の精神を伝え、大会の期待を高めるという。コンセプトは「希望の道を、つなごう。」と記されている。

 異様な雰囲気だった大阪での聖火リレー。これで、聖火はつながったと言えるのだろうか。夕方、公園内のステージで音楽グループ「EXILE」のメンバーらが繰り広げた無観客の「祝賀式典」を見ながら、そう思わずにはいられなかった。(甲斐江里子)