待ち受ける放射性廃棄物の山 廃炉の先行き見通せず

小坪遊、藤波優
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 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出が決まり、敷地を占有する1千基のタンクを減らせる見通しはたったが、今後も放射性廃棄物の発生は続く。放射性物質を吸着したフィルターや処理設備、原子炉建屋そのものなど、解体や処分の方針が未定なものも少なくなく、廃炉の先行きは見通せない。

 処理済み汚染水に含まれるトリチウムの総量は2019年10月末時点で約860兆ベクレル。国と東電は、原発事故前に放出管理目標値としていた年22兆ベクレルを上限にする方針で、今ある量だけでも放出し終わるまでに30年以上かかる計算だ。

 廃炉完了の目標は41~51年のまま変わらないが、国と東電による工程表でも、汚染水の発生がゼロになる時期は示されていない。

 汚染水の処理に伴って出る廃棄物の発生も終わりが見えない。汚染水に含まれていた放射性物質は、処理設備のフィルターに吸着され、高濃度の放射性廃棄物になっている。

 処理設備もいずれ廃棄物になるほか、建屋のがれきや設備、作業員の保護衣や手袋などもすべて放射性廃棄物だ。その量は20年3月時点で約47万立方メートル。日本原子力学会は、速やかに建屋を解体し、更地にする場合、少なくとも約760万トンの放射性廃棄物が出ると試算する。タンクの水の総重量の6倍に上る計算だ。

 さらに、事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)が1~3号機に800~900トン残る。極めて放射能が強く、人が近づけないため、ロボットアームなどを使って少しずつ取り出すしかない。

 国や東電は、事故から10年が経っても建屋の解体方針や、放射性廃棄物の最終的な処分先などを示せていない。廃炉の形が、更地にすることを目指すのか、そうでないのかもあいまいなままだ。小坪遊、藤波優)