東北の10年 桜の記憶訪ね 神山で写真展示

斉藤智子
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 東日本大震災後の東北地方で桜と人を撮り続けてきた、写真家村山嘉昭さん(49)=徳島市=の写真展「花は咲く 被災地の10年」が、徳島県神山町の焙煎(ばいせん)所で開かれている。桜を通じて、東北の人たちへ思いをはせてほしいとの願いが込められている。

 焙煎所内の壁には、2011年4月から19年までに撮った39作品が、大型パネル(縦1・2メートル、横2・9メートル)として組み合わせて掲げられている。

 村山さんは11年3月の震災の直後から、東北各地を回って取材や支援活動に携わり始めた。4月、東北で咲き始めた桜を献花の思いも込めて撮った。以来毎年、「あの桜はどうなったかな」と現地を訪ねては、桜を見ている人の写真を撮らせてもらったり、話を聞いたりしている。「10年に意味があるかわからないけど、10年見続けて撮ろう」と通い続けた。

 福島県浪江町では19年、「浪江で桜を見るのは震災の前の年以来」と語る夫婦の笑顔を撮った。宮城県石巻市の桜の名所・日和山公園では、15年ごろから笑顔で写真を撮る人が目立つようになったと気づいた。「桜の話をすると、みんな楽しく昔を語ってくれる。桜には思い出や町の記憶が詰まっている」

 神山町で展示を始めたのは、町全体に枝垂れ桜が咲き誇る3月末。身近に咲く桜と重ねて作品を見てもらいたいと考えた。「自分たちと同じような気持ちで桜を見ているのかなと、東北の人たちを思ってほしい」

 写真展スタートを見届け、村山さんは今年も東北へ向かった。

 写真展が開かれている「豆ちよ焙煎所」(神山町神領)は月曜定休、正午~午後5時。写真展は30日まで。(斉藤智子)