「いまでも自分は被災者」 忘れようがない地震から5年

伊藤秀樹、奥正光
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 熊本・大分両県で災害関連死を含めて276人が犠牲になった熊本地震から、14日で5年になる。観測史上初めて震度7の揺れに2度見舞われ、熊本県内の各地で国道や県道が寸断されたが、3月までにすべて復旧した。被災者の生活再建も進みつつあるが、3月時点で150世帯418人が仮住まいを続けている。

 2016年4月14日午後9時26分の「前震」と16日午前1時25分の「本震」で、ともに最大震度7を観測。家屋の倒壊など直接的な原因によって熊本県内で50人が犠牲になり、地震後の体調悪化など災害に関連して226人が亡くなった。全半壊または一部損壊した住宅は20万棟を超えた。

 地震で崩落した阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)に代わって約600メートル下流に整備された新阿蘇大橋は、3月に開通。大規模な土砂崩れで一部不通になった国道57号と、JR豊肥線は昨年10月までに全面再開するなどインフラ復旧が急ピッチで進んでいる。熊本市方面と阿蘇地域を結ぶ交通網は回復した。

 熊本県では、ピークの17年5月に2万255世帯4万7800人だった仮設住宅などの入居者のうち、99%は自宅再建や災害公営住宅(復興住宅)への入居などで住まいを得た。一方、益城(ましき)町で続く地震後の土地区画整理事業などの完了を待つ人が仮住まいを続ける。仮設住宅を出た後の支援も課題になっており、昨年度は復興住宅で2例目となる「孤独死」が確認された。

インフラ復旧は進んだけど…

 発生から5年を前に、朝日新聞は過去にアンケートをした被災者に追跡調査をした。回答した74人のうち街や地域の復興が進んだと感じる人が約9割に上った一方、半数の人が「いまでも自分は被災者だと感じる時がある」と答えた。回答者のうち49人は自宅が全壊か大規模半壊。再建した家を含め自宅に住んでいる人は55人(74・3%)で、19年のアンケート当時の54%より割合が増えた。

 街や地域の復興は進んだと思うか尋ねたところ、「思う」「ある程度思う」を合わせて66人(89・2%)。交通インフラの復旧や住宅再建などが具体例に挙がった。「あまり思わない」「思わない」は計8人(10・8%)だった。

 今でも被災者だと感じる時があるかの質問に「ある」と答えたのは37人(50%)、「ない」は35人(47・3%)。「ある」の理由としては「『もうおしまいだ』と感じた本震は忘れようがない」「地震前の場所に自宅を再建できれば復興を感じられる」などの回答があった。地震への関心が薄れ、風化しつつあると思うかとの問いには47人(63・5%)が「そう思う」と答えた。(伊藤秀樹、奥正光)