海洋放出「隣の県であっても風評被害出る」 宮城の漁師

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原篤司、徳島慎也、福岡龍一郎、星乃勇介 根津弥
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 風評被害が再燃しないか――。国が13日に方針を明らかにした東京電力福島第一原発の処理水放出。国は放射性物質の濃度を基準より十分低くすると説明するものの、輸入規制やコロナ禍の影響で苦境にあえぐ宮城県内の漁業者には、根強い反発がある。

 「海洋放出で風評被害が拡大するのは間違いない。別の方法を考えてほしい」。石巻市の鮫浦湾でホヤを養殖する馬場伸一さん(61)は憤る。

 東日本大震災前に主な輸出先だった韓国は、原発事故の影響で輸入を停止。国内向けの出荷を伸ばそうとしたが、昨年は最盛期に貝毒が出て出荷できなくなり、コロナ禍の需要減もあって「東京電力からの補償で食いつないでいる状況」という。

 種付けから出荷までに少なくとも3年はかかる。5年ものも手がける馬場さんは「2、3年後に放出となれば7~8年先までずっと売れなくなってしまう」。

 名取市の閖上沖で赤貝漁を営む50代の漁師も「海に流すのは絶対に反対。福島の隣の県であっても、必ず風評被害は出る」と不安を隠さない。

 閖上の赤貝は都内の料亭でも評価されてきた。コロナ禍で値が下がるさなかの、海洋放出決定だ。「もう少し経てば、ワクチンが広まって良くなると思っていたのに。海に流すのは2年後でも、『放出』の言葉が独り歩きして、今から風評被害が出ないか心配だ」

 県漁業協同組合の寺沢春彦・代表理事組合長は「10年前の事故の風評被害で、どれほど宮城の魚が拒絶され、安く買いたたかれたか」とこれまでの苦しい道のりを口にした。

 「国は『安全』というが、『安心』とは全く違う。私たちはただ、これまで続けてきた漁のある普通の暮らしを続けたいだけ。海洋放出の決定は、宮城の漁業の致命傷になりかねない」と危機感を募らせる。

 観光にも波紋が広がる…

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