「10年かけ戻してきたのに」処理水放出に漁師ら不信感

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 東京電力福島第一原発の事故から10年。処理水の海洋放出が決まった。政府はさっそく福島県内で説明に回ったが、地元だけでなく、周辺自治体の関係者からも不安や戸惑いの声があがった。

 「これから本格的に漁ができるようになると思ったのに、タイミングが悪すぎる」。東京電力福島第一原発から北に約45キロ離れた福島県相馬市。地元の漁師・菊地栄達(えいたつ)さん(28)は政府の決定に憤る。同県の沿岸漁業は4月から「本格操業」に向けた移行期間に入っていた。

 幼い頃から漁師の父昌博さん(66)に漁港に連れられ、海を見て育った。拠点にする松川浦は東北有数の漁港で、カレイやヒラメ、ズワイガニなど1年を通して多くの水産物が水揚げされ、活気に満ちていた。

 だが、東日本大震災による原発事故で、同県の沿岸漁業は全面自粛となった。栄達さんは3年前に昌博さんから沖合底引き網漁船「宝恵丸」の船頭を継いだが、出漁は月10日ほど。県全体の水揚げは10年経った今も震災前の2割ほどにとどまる。

 それでも、福島の海は震災前…

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