文具の「不便あるある」を解決する キングジム開発者

会員記事

滝沢卓
[PR]

凄腕しごとにん

拡大する写真・図版開発者として、文具店で気になる商品があると「構造を店員さんにいろいろ質問してしまいます」=小山幸佑撮影

キングジム開発本部 栗山朋之さん(31)

 A4サイズの書類が自分のかばんに入らない。「きっかけ」は、そんなささいな困りごとだった。

 約5年前、文具店をスーツ姿で飛び回る営業から、商品を企画、開発する部署を希望して異動し、私服通勤が増えた。それまで使っていたビジネスバッグは不釣り合いに。プライベート用だった小さめのかばんを持ち歩くようになってから、A4の「隠れていた使いにくさ」を感じ始めた。

 「書類を本のようにパラパラ見られるクリアファイルを二つにたためれば、需要があるかもしれない」。異動から数カ月後、自身でも半信半疑のアイデアを数行のメモと1枚の手書きイラストにして社内の会議で提案し、企画が走り始めた。試作を繰り返し、2017年に発売した二つ折りクリアファイル「コンパック」は、その後に計約40万冊を売り上げる商品に成長した。

「ヒットメーカー」として一目置かれる

 様々なファイルや「テプラ」といった商品で知られる同社の中で、いまや「ヒットメーカー」として一目置かれる存在だ。

 声を大にして言うほどではない困りごとは日々の暮らしに潜んでいる。ただ、「そうは言っても仕方がない」と、使う人が無意識のうちに受け入れがちな不便さもあるかもしれない。そんな「あまり表に出てこない『あるある』を解決すること」は、企画開発担当として「一番難しい」が、やりがいにもつながっている。

 手がけた商品は幅広い。例えば、書類をとめてメモできるクリップボードはふつう、めくったページを手で押さえないと元に戻ってしまいがち。それをボードの裏面につけた磁石の力で固定して、ストレスなく次ページに集中できる商品も生み出した。文具だけでなく、新型コロナウイルス禍をきっかけに、ひもまで収納しやすい折りたたみ式マスクケースといった日用品も開発した。

 商品アイデアの「種」になる…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら