カゴメ、新疆産トマトを使用中止へ「人権問題など考慮」
根本晃
カゴメは14日、中国国内の新疆ウイグル自治区産のトマトペーストを製品に使うのを、2021年中にやめることを明らかにした。同社は「人権問題への懸念の高まりや、品質や調達の安定性、コストなどを考慮した」(広報)という。
カゴメはこれまで同自治区からトマトペーストを輸入し、ソース類の原料にしていた。近年、調達量を減らしており、現在は全体の1%程度にとどまる。調達をやめる分は他国からの輸入で「十分補える」といい、20年産のトマトペーストを最後に輸入をやめたという。
国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、中国内でのトマト生産量は世界全体の約35%を占める。カゴメによると新疆ウイグル自治区は日照量が多く、昼夜で寒暖差が大きいことから良質なトマトを栽培できるという。カゴメはこれまで使ってきた同自治区産のトマトペーストについて「人権侵害が行われている環境下で生産されたものではないと確認している」としている。
同自治区でのウイグル族ら少数民族への迫害をめぐって、国際社会での批判が高まっている。スウェーデンの衣料品大手H&Mは昨年、同自治区産の綿花を製品に使わないと宣言。中国の通販サイトでH&Mの商品が検索できなくなるなど、中国内では激しい批判にさらされた。(根本晃)
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