ミャンマー市民の「応援歌」に ネット通じた寄付が続々

バンコク=乗京真知
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 クーデターを起こしたミャンマー国軍による弾圧に苦しむ市民を助けるため、インターネットを通じて寄付を募るクラウドファンディング(CF)が続々と立ち上がっている。現地では寄付金による食料配布も始まった。主催者らは「たとえ少額でもミャンマー市民への力強い応援歌になる」と協力を呼びかけている。

 ミャンマーが専門の今村真央・山形大教授や根本敬上智大教授、NGO「日本ビルマ救援センター」の中尾恵子代表ら有志が5日、CF「緊急支援:クーデター下のミャンマー市民へ医療・食料支援を。」(https://readyfor.jp/projects/justmyanmar21別ウインドウで開きます)を立ち上げた。寄付金は開始25時間で目標の500万円を超え、14日夕時点で2106人から計約1934万円が集まった。

 「少しでも力になりたくて」「命を大切に粘り強く闘って」。CFの窓口には2千件を超える応援メッセージが寄せられている。

 寄付金は国軍側の実弾発射で負傷したデモ参加者の治療費や、職務を放棄する「不服従運動」に参加する公務員の生活費、弾圧による避難民の支援費などに充てられる予定だ。

 きっかけは今村教授の呼びかけだった。現地の友人から「死傷者がどんどん増えている。医療費が足りない」との相談を受け、CFの立ち上げを急いだ。国境地帯の研究で培った人脈を生かし、寄付金をタイの慈善団体を通じてミャンマーの複数の市民団体に渡す送金ルートを確保した。

 今村教授は「かつての弾圧時にはなかったネットを味方に付け、民主主義を求めるミャンマーの人々を支えたい」と話す。

「少額でも力になる」

 今村教授がお手本にしたのは、ヤンゴンに住む会社経営の田村啓さん(36)が3月に始めたCFだった。田村さんが「善意を束ねるような受け皿を」と願ったCFには、約4週間の期間中に1434人から計1557万円が集まった。

 田村さんは地元NGOと連携し、収入減や物価上昇にあえぐヤンゴン近郊の貧困層に、1世帯あたり2500円分の魚の缶詰や米などを配布。既に配布先は2400世帯を超えた。

 田村さんは「大卒者の初任給が1万5千円程度と言われる社会で、2500円分の食料支援は小さくない。少額でもミャンマーの人々を励ます力になる」と意気込む。

 最大の懸念は、国軍の監視だ。国営紙によると、地元の慈善団体「FFSS」は国内で約6億チャット(約4600万円)を集め、公務員2008人に配ったが、国軍側は3月3日に団体事務所を家宅捜索し、代表者を指名手配したという。独自の送金ルートがなければ、国軍に差し止められる可能性がある。

 現地の人権団体「政治犯支援協会」によると、2月1日のクーデター後、今月13日までに714人が殺害された。根本教授は「弾圧の歯止めになり得ていない国際社会と各国政府に、ミャンマー市民は失望を強めている。そんな今だからこそ、市民が動いて連帯し、応援の気持ちを伝える意味が大きい」と指摘する。(バンコク=乗京真知)