国を壊し、去るのか 米軍撤退、アフガンにくすぶる懸念

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バンコク=乗京真知、ワシントン=高野遼 聞き手・小早川遥平
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 バイデン米政権が、アフガニスタン駐留米軍を9月11日までに完全撤退させる方針を決めた。泥沼の紛争から米国が抜けても、アフガン政府と反政府勢力タリバーンの戦闘がやむわけではない。現地の治安は不安定なままで、多くのアフガン市民が米軍撤退に伴うタリバーンの復権を恐れている。(バンコク=乗京真知、ワシントン=高野遼)

 「20年前に起きた恐ろしい攻撃を受け、我々はアフガニスタンに行った。それは、2021年になっても駐留を続ける理由にはならない」。バイデン氏は完全撤退を決めた理由に、米国を取り巻く状況の変化を挙げる。

 中国との競争や感染症対策、各国に広がるテロといった課題を抱えるなか、年間で数兆円規模に上るアフガン駐留費は米政府にとって大きな負担となってきた。バイデン氏は「タリバーンとの戦争に戻るより、我々は現在および将来の課題に向き合う必要がある」として、新たな分野に力を注ぐ狙いを強調する。

 バイデン政権の今回の判断が歴代政権と違うのは、アフガニスタンの治安状況に関わらず完全撤退するという意志を鮮明にした点だ。歴代政権はアフガニスタンが「テロの温床」に戻ることを心配し、完全撤退に踏み切れないできた。

 完全撤退を目指したトランプ前政権は、タリバーンとの合意で駐留米軍を約1万3千人から約2500人まで減らしたが、最終的に人員をゼロにするかどうかは、タリバーンの攻撃停止や和平交渉の進展などの「条件付き」だった。

 ところが、バイデン政権は今回、自ら9月11日という期限を切り、「条件なし」の撤退を表明した。背景には「条件付きの撤退は過去20年間続けてきたアプローチで、(結局は)アフガニスタンに永遠にとどまることになる」(米高官)という判断がある。

 一方、米高官は撤退を進める中で攻撃を受けた場合には「激しい反撃に出る」とも語り、タリバーンが力の空白を突いて攻勢に出る事態を牽制(けんせい)した。

 撤退期限を9月とした理由については、米軍だけでなく北大西洋条約機構(NATO)軍とともに撤退を進めるのに十分な時間が必要だったと説明した。

記事後半ではタリバーンやアフガン市民の受け止め、中東調査会の青木健太研究員による今後のアフガン和平の見通しなどを詳しく伝えています。

タリバーン「撤退期限、承知していない」

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